世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

片仮名をどう教える④~書き指導

毎朝、平日の15分。

  半分は、片仮名の読み、半分は書き

に充てるようにしている。

 

まず、読みについて。

一字一字のフラッシュカードは、ほぼクリアしたので、裏の絵と片仮名表記の方を使って、7,8枚、

  絵を隠して読んで、絵を見て答え合わせ

という活動をしている。

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書きについて。 

書く練習をするときに気を付けていること。

  • 読みに躓いた文字を選んで書く。
  • ひらがなの時の半分の量のプリントで書く。
  • 最後に見ないで一字書く。

 

読みに躓いた文字を選んで書く。

どうしても覚えにくい字、「ソ」と「ン」など紛らわしい字というのがある。ぼんやり線で見えているものが、書くことではっきりしてくる。書き順を意識することで、「ああ、だから、こっち(書き始め)は太くて、こっち(書き終わり)は細いんだ~」なんて、呟きが聞こえてくる。

 

ひらがなの時の半分の量のプリントで書く

ひらがなの時は、

  運筆も兼ねていたこと

  曲線なので難しかったこと

もあるので、それなりの数の練習をしたけれど…

  片仮名は、直線でもっと簡単なので、半分の量

にした。なるべく、単調な学習は避けたいので。

  全部を埋めようとも思っていなく

て、「ニ」「へ」のような簡単な字は、省略する予定。

これ、結構大事なコツで、どうしても、「教師」ってドリル類を隅々までやらせようとするけど、バイリンガル、マルチリンガルの子供たちは、効率よく学ばないと遊ぶ時間がなくなっちゃう。

  いらない学習を断捨離していく視点

は大事。

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最後に見ないで一字書く。

ただ、マスを埋めるだけに終始しないように、最後に白いボードに一字きれいに書く活動を取り入れている。ルーティン化すると、覚えることを意識しながら練習する。

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今週いっぱいで机上で片仮名を勉強するのは終わりかな。

あとは、活動の場で使っていくうちに自然に定着していくと思っている。その点、日本にいるというのはすごくイイ。看板も本もたくさん目に付く。そのうち、

  どんなものを片仮名表記する

のか、気づくかな。本人が何か気づいて言い出すまで辛抱強く待つとする。

 

片仮名習得、下地(ひらがな、運筆)さえそろっていれば、

  週4-5日15分の学習で、2か月足らずでマスター

するもんですねー。

前だったら、もっと片仮名をぞんざいに扱っていた気がするけど、「唱えて覚える」ミチムラ式漢字指導法を学んでから、

  片仮名は漢字の下地

ということがよく分かったので、丁寧にやりましたー。

 

「学校に入れてくれてありがとう」

学校の行き帰りの自転車10分、後部席に座る末っ子がゆっくり?私と一対一で話ができる貴重な時間。

 

昨日の帰り、後部座席から大声で唐突に娘が言った。

「ママー、ありがとぉおおお!学校に入れてくれて。」

『え?』

「だからー、学校に入れてくれてありがとう」

『そう思ってくれて嬉しいよー。なんかいいことあったの?』

「だって、4歳の頃って、leとかlaとか知っていたけど、どう書いていいのか知らなかったし、読めなかった。今はたくさんテキストもらったし。」

  超感動!

6歳で学ぶ楽しみを見出しのたのね~というか、このころは、こんな風に言葉で表現しなくても、きっと楽しいんだろうなぁ、学んで世界が広がることが。

 

9月からCPに上がった末っ子。日本で言えばピカピカの一年生にあたる。

急に「きちんと勉強」することが始まり、宿題も出てくる。

特に、フランスはバカンスが多いこと、彼女は仏英バイリンガルコースに入っていることもあって、宿題も多く、小テストも始まっている。本人、結構つらいと思っていた。(見ている私がやや息切れしているので(笑))

先生が厳しい、友達の輪の中にうまく入れない…と、門でなかなか私から離れず、朝から渋ることが多かったこの一か月。

それでも、これまで耳でなんとなくわかっていたことが、「書き言葉」を習うことで、彼女なりに

  はっきりわかる感じがあって、それが楽しいのだ

と思う。

 

ここからは少し宣伝になってしまうのだけど・・・・

私が今、力を入れている

www.learnjapanonline.com

で目指す漢字指導もそういう楽しさを子供たちに伝える授業、カリキュラムだ。ただ、一回こっきり楽しい漢字授業も悪くはないが、じわじわっと、わかることが増えて、世界が広がることが実感できるような継続的、系統的な指導。

 

楽しいにもいろいろある。

  ゲームの楽しさ

  できるようになる楽しさ

  集める楽しさ

  わかる楽しさ

  発見する楽しさ

  競い合う楽しさ

  協力し合う楽しさ

  人に教えたり、褒められたりする楽しさ

そして、究極のところは、

  自分の世界が広がる楽しさ

これらの楽しさをうまく組み合わせたカリキュラム作りができないかなと頑張っているところ。

一人で悩むより、やはり、みんなで悩んだ方がいいアイディアがいっぱい出てくる!もう少しメンバーが増えたら多様性が生まれるかなと思うので、興味がある方は、是非上記にアクセスして、申し込んでください。

 

因みに次回(10月20日)の定例会の発表は私。

 

「漢字を俯瞰する力を養う漢字単元 ~小学校国語教科書(光村図書)の活用」

 

と題して、教科書の小単元を「適当」に使えば、漢字を俯瞰する力が身につく!という話をします。

 

  

 

 

 

フランスの学校、学級委員に立候補続出!

フランスの新学年(9月)の風物詩?に、デレゲ(déleguée)選びがある。いわゆる

  学級委員

だ。これが、いつも激戦。つまり、たくさんの子供たちが立候補するのだ。

立候補した子供たちは、ポスターを作り、公約をみんなの前で述べて、選挙で選ばれる。

 

今年、フランスでCP(日本でいう小1)に入った末っ子は初めてこのことを先生から聞き、

  「私も立候補する!」

と、目をキラキラさせながら帰ってきた。

 

毎年、学級委員選びの時期、すごいなと思うのは、

  立候補者が多いこと

だけど、今年はその驚きも一段と大きい。

  こんなシャイな子まで立候補したくなる!

とは!!

 

大げさかもしれないけど、「市民育成」の第一歩をフランス教育は、大成功を収めている!だって、公約を掲げ、政治家に立候補する人が多くて、選挙で選ばれるのだから。

きっと先生の持っていきかたがうまいんだろうなぁ~

 

本人曰く、

「前のデレゲはね、校長先生に話しに行って、休み時間にみんなで使えるボールを買ってもらったり、トイレが臭いから、においのボールを入れてもらったりしたんだって。給食の時間、音楽を流すというのはダメになったんだって、余計うるさくなるから。」

というわけで、一生懸命、公約を考え、ポスターを描く末っ子がかわいい。

 

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上の二人は、すでに経験済みで、選ばれた日にはとても嬉しそうな顔をして帰ってくる。そのうち、

  どんな公約をすれば票が入るのか

  社交を広げておくことが大事

とか、いろいろな戦略に走りだす。

それも含めて、微笑ましい。

 

因みに、私と相談して、末っ子が掲げた公約は…

  休み時間に遊べる日本の伝統おもちゃ導入

  まずは、保護者に寄付を募る⇒足りなかったら校長先生と交渉

  年度末に、誰が一番うまいか遊びコンクール

今年のテーマは、「エコ」「オリンピック」というので、結構いいじゃんと二人で話して、フランス語の下書きをパパに見てもらったら…

「あのね~投票するのは子供で、先生じゃないから。これじゃあ、票が集まらん!」

とダメだしを喰らった(笑)すまん、娘よ。根っからの教員なもので…。

「じゃあ、代案出してよー」と言ったら、

  年度末に、パーティ

  休み時間に使えるボールを増やす(これで男子の表はゲット)

だそうな。

 長男は、

  「週に一度、校庭を掃除してきれいな学校」

の公約で当選したことあるし、邪道(笑)に走ることはないと、結局、最初の二人の案に決定。書くのは手伝ったけど、みんなの前で話すのはできるかな?

 

ところで、この選挙、選挙は熱くて、その後は公約はどこにいった?という状況に陥りやすい。あ、これは本物の政治家も同じか!

マルチリンガル転入生、友達の輪に入れるか?!~末っ子6歳の挑戦

新しい学校に転入して1か月が過ぎた。

私立の学校なので、我が子の3人はそれぞれ、

  すでに出来上がった人間関係

の中に割り込んでいくことになる。

末っ子6歳にとっては初めての経験。もともと、シャイで(内弁慶)社交的とは言えない彼女の悪戦苦闘ぶりは、毎日の会話から計り知れる。

だけでこればっかりは、親が出る幕あんまりない。出ると

  弊害あって一利なし

と思っている。できるのは、話をゆっくり聞いて、励ますことくらい。ほかの親御さんがこんな時どんな風に声をかけるのかなあ、と思いながらうちの場合を書いてみる。

 

「休み時間一人でいるの嫌だー、でも、今日も一人だった…」

『もうみんなは何年も同じ学校にいて、友達出来ているんだから、自分から遊ぼって言わないと誰も遊んでくれないよ。『入れて!』って、フランス語はわかるでしょう?英語でなんて言うか知っている?』

 

「言ってみたけど、だめって言われたよー」

『遊びによっては人数が合わないってこともあるよね』

「私もそう思ったけど、昨日その子がやっていた遊びは人数増えても関係ない遊びだった」

『じゃあ、なんで?って聞いてみれば?もし、理由もなく入れてくれないなら、ちょっと意地悪な気がするから、無理に入れてもらわなくてもいいんじゃない?』

 

次の日…

「なんでって聞いてみたら、黙っていたから、理由もないのに入れてくれないなんて意地悪だねって言った」

(お、そこまで言ったか!彼女としては、相当頑張ったな。)

『じゃあ、違う子に今度言ってみれば?』

「遊びたいと思わない子は声をかけてくれるけど、遊びたい子と遊びたい」

『〇ちゃん、そうやって遊びたい子を選んでいるように、他の子も選んでるんだよ。その子と遊びたかったら、〇ちゃんが選ばれるように頑張らないとね。』

「どうやって?」

『なにかでその子にすごいと思ってもらうことかな。勉強でも遊びでも。みんなは何して遊んでるの?』

「ゴム段とか縄跳びとか…でも入れてくれない」

『よし!ゴムを買ってきて、特訓するか?!』

というわけで、35年ぶりくらいのゴム段(笑)

 

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昨日のお迎えは満面の笑顔で下校してきて、

ゴムを持っていたから、入りたいグループの子の方から、「一緒に遊ぼ」と言ってもらえたとか、まだゴム持ちだけどね…と(笑)

一歩ずつ、自分の力で友達の輪に入っていく娘に成長を感じた。

でもポツリといった娘の気づきがインターナショナルスクールならでは。

「ふと気づいたんだけど、フランス語の日は、みんなが話しかけてくれるのに、英語の日は違う」

   言葉の出来不出来が子供社会の力関係に影響しているんだな

多分、そこから派生する

   自信オーラ

が影響しているんだろうな。

 

新しい学校は、英語の日とフランス語の日が交互にあって、こどもたちは、休み時間も「その日の言葉」で話すルールになっているらしい。

「今日は、フランス語の日だったから、このチャンスを逃さないで、言いたいこと全部、友達に言った~」

と言いながら帰ってくる娘を見ながら…

日本に戻ってきて、

  伝えたいことを努力なしで伝えられることの楽さ

を満喫している自分に気づく…。引っ越し後の事務処理も、3から5倍速でサクサク片付くのは本当に嬉しい。

 

私たちはいかにして英語を失うか~6歳の娘の英語保持に親ができること

「英語の日は、学校に行きたくない!」

とぐずる、6歳の末っ子。3年間のシカゴ生活、断固として英語を話すことを拒否していた彼女が、最後の半年で話始め、「英語を話せるようになりたい」と言ったので、ギリギリに進路変更して、今は東京フランス国際学園の英仏のバイリンガルコースにいる。

 

私も夫も、日仏をきちんとやることが最優先と思っているので、本人が希望しないのであれば、一年後は普通のクラスに戻してもいいなというくらいの気持ちでいる。が、この本を読んで、とりあえず、この一年は、親の私も覚悟して、彼女の英語の勉強に付き合ってみようと思った。

 

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服部先生の講演は聞いたことがあるし、すでにだいぶ古い本になりつつあるけれど、学ぶも速い、忘れるのも速い、子供の外国語の簡単なメカニズムと保持するための具体的な手法(先輩ママの成功談、失敗談)もあって、良本だ。で、

  読み書きを伴わない外国語は、喪失してしまう

のが、よくわかった。今、頭の中でふわふわとある英語をどうにか、頭に残すには、書き言葉まで落とし込まないといけないんだ、と改めて。

 

フランスの小学校では一年生になった彼女。英語もフランスも読み書きが入ってきて、宿題も多く大変。だけど、ここは、親の頑張りどころ。ただ、YOUTUBEで英語を聞かせて満足ではなくて、綴りのテスト勉強に付き合ったり、英語の本を読んであげたり…

  聞く話す力を読み書きできる力まで

うまくつないであげたい。

 

英語の日(その日は一日英語で過ごさないといけない)は、涙をにじませ、門の中までついてきてとせがむ娘。中庭にみんな集合して、先生が迎えに来たら列になってクラスに入っていく。ずっとぐずぐず言っているが、先生が出てきて集合の合図をかけると、カーディガンでググっと涙をぬぐい、覚悟を決めたかのようにすっと離れて、子供たちの渦の中に入っていく。

 

英語の日のお迎え時は、疲れ果てて大抵不機嫌。

でも、昨日はそうでもなく、あっさり「英語に慣れてきた」と。

こうして成長していくんだな。

それにしても、自分が自信を持って話せない言葉を教えるのって、なんとも心地悪い。日本語フランス語とのバランスも悩ましい…。

 

東京フランス国際学園、ここがいい!

目の前に広がる大海に夢と希望を持ち、ワクワクしながら、岸と海とを行きつ戻りつしながら、泳げる距離を伸ばしている6歳の末っ子。

これは、親子共々楽しい。

何といっても、自分のペースで世界を広げられるから

 

一方で、大海のうねりの中で、否応なくスクロールを余儀なくされている15歳長女。

「覚えきれない!わからない!こんなことして何の意味がある?」と、大騒ぎ(笑)

「世の中無駄なことは何もない。人生の中で、これ以上できないというくらい勉強する時期も必要」とか言って、叱咤激励する私。

時々は、「島」になってあげないとね。

 

さて、この長女と長男12歳は、9月から東京フランス国際学園で日本語の勉強もしている。レベル分けテストの結果、ギリギリ日本の学年相当の教科書を使ったクラスに入れてもらえた。

これで、これまで海外で補習校でつないできた日本語(母語)教育が、つながったとひそかに胸を撫でおろす私。

 

で、補習校に比べてよいなと思う点。

  • 日本語が「教科の一つ」になるので、学ぶモチベーションがあがる
  • 同レベル、同じような悩みの仲間と頑張れる

まず一つ目。

補習校はどこかオマケ、という意識が子供たちにはあったけど、教科の一つになって成績一覧表に載るとなると、やはり真剣さが変わってくる。

スイスでは、学校外で行っている継承語教育の成績を現地の普段学校の成績表にも書いてもらえるという話を聞いたことがあるけど、子供たちにとって

  メインストリームの中で自分の学びを価値づけられる

って大事。

 

二つ目。

「この漢字どう書くんだっけ?って聞くと、こうかなって半分まで書いて、あとわかんないって言って、次の子に回して、何人か回しているうちに漢字ができあがる…そういうのが嬉しい」と長女が言う。

気持ちわかるなぁ。

  補習校の中学部では、すぐに答えがわかっちゃう日本から来た子

  漢字はとおの昔にあきらめっちゃった子

の両極端だったんだろうな。

やっぱり学びには仲間が必要

自ら学び始める瞬間!

日本に住んでいるが、フレンチスクールに入ったので、日本語教育は私が責任もってやると覚悟して、末っ子6歳に片仮名指導中。

これがすこぶる楽しい!!

 

最初は、「なんで片仮名?」って感じで、渋々私に付き合ってやっていた娘。

毎日(平日)、代替決まった時間(朝)に無理しない程度に(短時間、どうしても本人の気分がのらない時はしない)しているうちに、文句を言わなくなり、やがて…

  学ぶことが面白くなって、自ら学び始めた

 

娘が自ら学び始めた!と、内心ガッツポーズをした場面。

  • 片仮名を見つけると自ら読み始めた
  • フラッシュカードでなかなか覚えらない字を自らノートに書きだした

場面。

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わからない言葉リスト。この後「ちょっと待って」とノートに書き始めた!

 

 

親が教師が子供にできることって、こんな風に

  学ぶきっかけ

をあげて、最初だけ

  横に寄り添って伴走してあげて

一人で走り出したら、すごいね!って褒めて、

  背中を押して

あとは、

  見守るだけ

だと改めて思った。

学びが世界を広げることを実感して、楽しんでスイスイ大海に泳ぎ進める娘との時間を楽しめるって、本当に幸せ。