漢字を自分で調べられる力
今月の
の定例会で
わからない漢字を自分で調べられる力
というのが、話題になった。
多くの漢字参考書は「音引き」なので、
低学年の子供たちは自分で調べられないのが難
という話だった。
これに対して、
子どもに寄り添い大人も一緒に楽しめばいい
音読み習得の必要性を説くチャンス
という声もあったし、それも悪くないけど、
自分で見つけられないor面倒だとやる気をそぐ
自分で見つける喜びを味わせたい
親も時間がない
といのも、その通りだと思った。
最後の「親の時間」について補足すると…
この研究会に参加している親は、家庭で二つ以上の言葉をサポートしている。
多くの方は、日本語は母語だけど、現地語は違う。そうなると、
現地語の宿題は、手探りで辞書を引き引き親は手伝う
わけだ。しかも、学校に二つ行っているということは、
宿題も学校にまつわる書類や行事、人付き合いも二倍
になるのだ。
なので、正直、漢字だけにそこまでかまけていられないという事情がある。
だから、
ひとりで調べ学習の成功体験を積み重ねられるようなしかけ
が必要だよなぁと強く思う。
と考えながら、この前甥っ子と勉強した時のこと
を思い出していた。
私が甥っ子に示した「わからない漢字を調べる方法」は三つ。
① 漢字ドリルの巻末の表から探し出す
② ipadでgoogle様に聞く
③ 身近な大人に聞く
それぞれのメリットとデメリットをまとめると…
① 漢字ドリルの巻末の表から探し出す
音読み順に並んでいるので、知らないと見つけるのは困難。
音読みを教えるか、この辺にあるよとヒントを上げるとできた。
自分で見つけると、やはり嬉しそう。
② ipadでgoogle様に聞く
同音異義語から、正しいものを選びださないといけない。
「開く」を調べたら「悪」が出てきた!けど、子供にはこれが違うとはわからない。説明したら、「ああそうだね、同じ音でも違う意味の言葉っていあるね」と言っていたので、学びもあるが、漢字を調べる方法にはならない。
③ 身近な大人に聞く
簡単でほぼ確実な方法ではある。
でも、我が子はこれに頼りすぎていている気が… 一応、
答えを教える前に予想させてみる
その漢字を使う漢語をヒントとして出す
などして、ただの字書代わりにならないように気を付けてはいるけど。
実は、①の問題点は、「何年生の配当漢字かわからないと調べられない」と思っていたのだが、2週間ぶりに甥っ子とあったら、彼が自分で見つけていた!
なんと、漢字の枠が学年に応じて色分けしてあったのだ!
(2年生の漢字はピンクの枠⇒ピンクの一覧表から探せる)
これだけで、調べる範囲が約6分の1になるのだから、素晴らしい。
究極の解決策としては、前に紹介したYOMIWAというアプリで調べる
というのはあるけど、やっぱり小学生子どもには、まだ早いかなと。
一度、マルチリンガル漢字指導法研究会でこれをテーマを深堀してみたいな。
小4くらいからの学習には大切な視点だと思う。
「図鑑漢字ドリル」(学研)× 自閉症スペクトラム障害
お正月、実家に戻った時、
自閉症スペクトラム障害の甥っ子(小5)、トーマス大好き、電車はまあまあ
に図鑑漢字ドリル(鉄道版)を試してみた。
大事にしたこと
① 本人のこだわりを大事にする。
② こだわりを上手に活用して、いい習慣にする。
③ 事前にやることを目に見えるように知らせる。
④ わからないときの解決方法を示し、選択させる。
⑤ 一度にひとつのことだけに集中する。
1日目
「はい、プレゼント。これで、一緒に漢字勉強しようか?」と投げかけると…
「えー、ヤダ」と反抗期の甥っ子、まずは否定から。
「えー、でも、これいろんな電車が載っているよ。好きなのあるかな?」とちらっと開きながら、大げさに「へぇ、こんな電車があるんだ」とか言って閉じる。
関心なさそうだが、自分でもその後、ちらちらと見ている。
おばあちゃんと勝手に裏表1ページやっていた。
そしたら、もう、「裏表1ページ日課」がこだわりに(笑)
なので、
本人のこだわりを大事に
して、逆手にとって、
こだわりを上手に活用して、いい習慣にする
ことに。
2日目
「えー、もうやったの?今日は一緒にやろう。たくさんやると大変だから、表だけやろう!その代わり、まず、一回、文を読んで。」
「ダメ!一日に裏表やらないといけない!」
「わかった、じゃあ、そうしよう。まず一回読んで」
「やだ!」
「〇君読む?私が読む?順番に読む?」
「読んで!」
「わかった、じゃあ読むから、指でたどっていてね。」
空欄の漢字を書きだすが、文意は無視している様子。
「九州ってどこ?どこ走る電車だろう?地図で見てみようか?」と声をかけると…
イライラしてきて、パニック気味。
一度に二つのことは無理
と判断。漢字に集中することに。
間違っていてもその都度声はかけず、そのまま最後までやらせる。
色々な話を混ぜた方が、楽しく学習できるかなと思ったのだけど、この子の場合は、
一度にひとつのことだけに集中する
方がいいんだなと、学んだ。
あとは、
間違ってもすぐに声をかけないのはどんな子にでも基本
やっている横から、「違う」と言われるとやる気をそいでしまう。
間違っている漢字にであったら、そのまま最後まで声をかけず、最後に「二つ間違っているところがあるから、なおそうか。この漢字、おしい。左はあっているんだけど…」
と声をかけると、うまくいった。
それでも、書けない字があると、パニック。
「できない、やめる」と言って席を立つ。
「気持ちが落ち着くまでぐるっと回っておいで、待っているよ」と声をかけると、数分後戻ってくる。
を何度か繰り返したので、次のように提案してみた。
「わからない時に解決する方法が、3つあるんだよ。
1、ドリル巻末の一覧表で調べる
2、IPADに入力して調べる
3、大人に聞く
どれがいい?」
ここでのポイントは、
わからないときの解決方法を示すこと
好きな方法を選択させること
自閉症の子供は物事が予定通りに進まないことにすごくストレスを感じる傾向があるので、特に先に、
「絶対、わからない問題に出会うよ~出会ったら、こんな方法があるよ」
と先手を打ってあげるといいんだなと思った。あとは、
やらされている感を少しでも減らすため
に、または、
一つの方法で解決できない時のため
選択肢を複数用意しておいてあげるといい。
最後、「途中、家出しちゃったけど、最後までよく頑張ったね。えらいよ。だんだん家出の時間が短くなるといいね!」と言って、学習終了!
3日目
「さあ、漢字しようか。」
「やだ!」
「今日帰っちゃうから、最後一緒にやりたかったんだけどな」
トコトコとドリルを取りにいく。
「これからはね、次の順番で勉強するよ。
1、文を読む。2、漢字を書く 3、もう一度文を読む」
(ホワイトボードに書いて見せる)
わからない漢字にであったら、
「昨日、解決方法を三つ教えたよね?どれがいい?」
「『大人に聞く』はさっき使ったから、今度ipadで調べてみる?」
ペースがつかめてきたので、
事前にやることを目に見えるように知らせる
ことから始めたら、スムーズだった。
この日は、迷っていたら、
すぐ教えず、ヒントを上げる
ことを意識した。
例えば、「鉄道のどうって?動くかな?」と甥っ子。
「確かに電車は動くもんね。でも、鉄の道(みち)なんだよ。線路は道みたいにずっとつながっているでしょう?」
「あ、そうか。」と書いた後、ドリルの表紙をすかさず見て自分で確認!「あ、ほんとだ」とつぶやく。
私は、そこに書いてあるというのがよく分かったなぁ、写真みたいに視覚でカシャっと頭に記録されるんだなと、感心したのだった。
こういう声かけがうまくなったなと、自分も褒めた(笑)
これは、マルチリンガル漢字指導法研究会で皆さんと切磋琢磨しているおかげ!
コミュニティラーニング、万歳!
上記で紹介した「図鑑ドリル」。
他にもいろいろ種類があるんで、是非、子供の興味に合わせて選んでほしい ↓
どうせ漢字を勉強するなら、好きなことで!
ブックレビュー「メモの魔力」②
実はこの本を読むのは2回目。
結局、メモをとる習慣はつかず(笑)だいぶ時間が経ってしまった。ブログを書く習慣がついたので、まずまずなんだけど、やっぱりいろんな気づきを逃している気がするので、再びこの本を手に取った。
前回は前回で、いい学びを得ているのだなと昨年3月に書いたブログを読み返して思ったのだけど、今回は、
メモ技術に集中
して、使いたい方法を備忘録としてブックレビューに。
〇 ファクト⇒抽象化⇒転用
日々ビビッときたことをとにかくめもる。ただ、それだけではなくて、一つ抽象度を上げて汎用化するところまでやる。そして、何に使えるかまだ考える。そのためのノートの使い方は参考になった。
ノートは見開きで使う
すぐ思いつかなくても、右半分ページを空けておけばいい
というのは、素朴な発見。
気付きを抽象化することは必須。そこで止まってしまうと、単なる「評論家」自分が世界を抽出した気づきから、きちんとアクションに「転用」することを通じて、自分の日々が、人生が変わっていく。
確かに~単なる知識収集で終わらないようには気を付けて本を読んでいたつもりだけど、かなり「評論家」レベルで終わっているものも多い。アクションまで、というのは肝に銘じておきたい!そこまで落とし込むスペースを作ることで可視化されるのは〇!
〇4色ボールペンによる色分け
黒⇒ファクト
緑⇒主観的な発想
青⇒やや重要なこと、引用、参照
赤⇒最重要なこと(重要度>緊急度)
〇 標語欄をつくる
構造化、そして言語化の力をより伸ばしたいのであれば…「標語」のための列を作ってあげるとよい。ファクト欄に書いたことをグルーピングして、「要は何の話か」というエッセンスをまとめて一言で表現、レトリックを聞かせてキャッチーなネーミング
頭がごちゃごちゃしてくると、時間を取ってKJ法とイメージマップを混合したような方法でこれまでもラベリングして整理するという方法はとってきたのだけど、とにかく、なかなかそういう時間が取れないのが悩みだった。こんな風に日常の中に練りこむのは試す価値あり。
ということで、アクション!
私は白紙にメモするのが好きなので、意外に見つからないのだけど、白紙のノートを買ってみた。リングがどう感じるか、紙がやや薄い気がするが…あとは、走りながら微調整したい!
ブックレビュー「Excelスキルをド素人状態から達人級にまで高める方法」
漢字がたのしくなる本ワーク⑥~漢字の単語あそび
漢字がたのしくなる本ワーク⑥
シリーズ最後の本。
【お勧めの人】
- 中学年の漢字を半分以上は習得できていて、もう一段階上を目指す子ども
- 漢字そのものから、熟語(特に漢語)習得をサポートしたい親、先生。
- 漢字習得の最終目標を「漢字から意味を推測する力」と考えている親、先生。
【お勧めのレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
これまで、漢字そのものとその仕組みを遊びながら身に付けてしまうというものだったが最終巻では、
学び、覚えた漢字を日本語の中でどう使いこなすか
ということを遊びながら身に付けようという内容。
「一つ一つの漢字そのものを覚えても、それが日本語の中で、日本語の単語としてどう使われているかが分からなければ、漢字を生きた言葉として使いこなすことができない。」
という筆者の考えには大いに賛成である。
①漢語と和語
②漢語のいろいろ(2字、3字、1+2字など)
③漢語の組み立て(6種類)
④漢字の音と意味
の大きく4章構成になっているが、すごくすごく内容が濃くて、唸る~。
以下、マルチリンガル漢字指導法研究会の「海外で育つ子ども」たちを念頭において、中身を深堀…。
漢語と和語
⇒同じ意味を表す言葉でも和語と漢語があることを知る。
海外で育つ子どもは、圧倒的に和語ばかりを聞いて育っているので、親も含めて漢語を意識しないと…ワークの言葉も説明が必要な子供がたくさんいるだろうなぁ。
やっぱり、この段階まで来たら、漢字力と語彙力は車の両輪でどちらが欠けていても、積み上がりにくい。どれだけ、音読、読書を積み重ねてきたかの差が、明暗を分けると思う。
ま、どうせ完璧にはなりっこないので、このあたりから子供自身と目標を共有して、現地語で訳を付けて、「母語」から「外国語」に近い感じで、学んでいくといいのかも。
漢語のいろいろ(2字、3字、1+2字など)
⇒読めなくても、漢字の意味が分かって、漢語の組み合わせが分かれば意味が分かるという、漢字を覚えるメリットがよくわかる
日本語によくある「略語」も、知っておくだけで新聞の見出しとかとっつきやすくなると思う。
漢語の組み立て(6種類)
↑これらは、国語の教科書でも取り上げられている内容。
⇒本で紹介されているゲームも楽しそうだし、前に紹介した熟語博士のカルタ↓みたいなのを作ってもいいかも。これは1,2年生の漢字しか使っていなかったので。
漢字の音と意味
これは、5つの部分
(1)同じ音の漢字・同じ音の漢語
(2)いくつもの意味をもつ漢字
(3)似た意味をもつ漢語
(4)漢語の意味のつかみ方
(5)漢語をつかった文と和語の文
に分けて説明されているのだけど…
個人的には、子供が音読みに躓く理由がよく分かって、(2)(3)あたりは特に唸ったところ。このくらいスモールステップを踏んであげないといけないのかと。
同じ音の漢字・同じ音の漢語
⇒いわゆる同音異義語。
ややこしいと言えばややこしいが、
こんな日本語をうまく利用して落語やとんち話を成り立たせてきた先輩の例になって楽しみましょう
としている発想がイイ!
いくつもの意味をもつ漢字
⇒いわゆる多義語。
「漢字には意味がある」と分かっても、日本語への接触数が限られる「海外育ちの子」は、二次的、三次的な意味まで自然に習得できてないことが多い。このワークのようなステップが必要なんだと気づかされた。
似た意味をもつ漢語
⇒これはかなり難しい…このワークをやったからってできるようにはならないだろうなぁ(笑)自分が外国語を学んだり、使っているときのことを考えても、文脈にピッタリ合った似た意味の言葉を選んで使っているとは思えない…かなりハイレベル。
漢語の意味のつかみ方
⇒このレベルまで来た子供なら、大抵の場合はこういう思考回路を持っているように思う。もっと早い段階でこういうワークをしてあげるといい。
漢語をつかった文と和語の文
⇒これは面白い。受ける印象の違いを子供の言葉で聞いてみたい!和語の世界に基本生きている「海外育ちの子」には、漢語の世界を意識させるいいワーク。
これで、全6巻のレポートは終了。
全体を通して考えたこと。
「海外で育つ子ども」たちにとっての漢字。
楽しいだけで程々にやりたいのであれば、1巻だけで終わらせた方がイイ。
きっと、1,2年生くらいまでは日本の学校に夏、体験入学してもなんとなく楽しめて、海外では神秘的な漢字を少し書けることに誇らしさを覚えて、日本にいいイメージをもって育ってくれる。
でも、個人的には、漢字を学ぶ意味は
漢字の知識がなければ、小学校中学年程度の日本語能力で頭打ち
になると思うからなので、
何とか、6巻のレベルまでもっていってほしい。
別に、小学校6年までの漢字が全部読めたり書けたりしなくてもいいし、書き順が違っても、字形が悪くてもいい。
漢字から日本語の意味を推測できるセンス
を身に着けさせてあげたい。
そこまで親や先生がサポートしたら、後は語彙を増やすとか、字形を整えるとか、そういうのは本人がやりたければやればいいし、やりたくなった時にやればいい。
ふう…何とか年内にマルチリンガル漢字指導法研究会のみんなに届けようと、駆け足のレポートだったけど、伝わったかなぁ。来年は、実際にこれを使って授業案を考えたり、子供とやってみたりしたい!!
今年のブログは、漢字で始まり、漢字で終わる~。あの時、ぼんやり考えていたことから、随分歩めて大満足。よいお年を~。
漢字がたのしくなる本ワーク⑤~形成文字あそび 形成文字2
漢字がたのしくなる本ワーク⑤
【お勧めの人】
- とことん読める漢字を増やしたい子ども
- 論理的にものを考えるタイプの子ども
- 形成文字って何?と言われてもうまく説明できない親、先生
- 学年配当の漢字とか教科書とかを忘れて漢字でとことん遊ぶ勇気がある親、先生
【お勧めレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと、4巻で大体つかんだ形声文字の仕組みをもとに、
漢字の「音」でとことん遊んで、体得しよう
という巻です。
① 漢字の十字路
② 形成文字カルタ1~象形文字が音記号
③ 形成文字カルタ2~会意文字が音記号
④ 形成文字カルタ3~今では漢字として使われないものがと音記号
という構成で、
漢字の大部分を占める
形声文字は、意味を表す部首と音を表す音記号でできているという仕組みを復習、ワークやかるた遊びを通して、
簡単な音記号から難解なものへとスモールステップで
身に着けていく。
この巻に本腰入れて取り組むなら、別売りの
が必須。
例によって、以下、マルチリンガル漢字指導法研究会が対象とする「海外で学ぶこども」と掛け合わせながらの内容の紹介と所見を(⇒の後)
漢字の十字路
⇒形成文字の仕組みを目で見て分析的に捉えられていい。4巻の復習になると思う。
形成文字カルタ1~3
⇒子どもが覚えやすい「音記号」からスモールステップを踏んで教える、遊べるのがとてもいい!カルタ遊びと言われても、いきなり108並べられたらうっと来る。
⇒それぞれの章で紹介される「音記号」を体得するためのワークもすごくイイ!
それに、いろいろなカルタの遊び方が紹介されていて、どれも試す価値あり!!
最後に個人的な感想。
小6の息子とやりたいワーク、遊びが満載な本
だった!
とはいえ、学校の授業で課される漢字テストの勉強と2月受験予定の漢検の勉強とで、なかなか時間が取れないだろうな。海外でも補習校の授業で扱おうと思うと、別の何を削るかというところで勇気がいると思う。
私自身が知らないこともいっぱいあったので、まずは自分が楽しんで、息子の漢字勉強の時に豆知識を小出ししていこうかと思っている。
でも、
今までの漢字指導の方法に限界を感じている人
学年配当漢字にこだわらなくていい環境にいる人
は、迷わずじゃんじゃん試してほしい!
漢字がたのしくなる本ワーク④~漢字の音遊び、形声文字Ⅰ
漢字がたのしくなる本ワーク④
【お勧めの人】
- 5年生以上の漢字にもチャレンジしたい子ども。
- 書けなくても読める漢字を増やしたい子ども。
- 子どもの音読や漢字学習を手伝いながら、応用力がつくコメントをしてあげたい親
- マンネリ化している漢字学習にさし色を入れるヒントが欲しい先生。
【お勧めのレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと…
形成文字の「音」で遊びながら、その仕組みもわかっちゃお!
という本。
漢字がもつ「意味」と「音」の「音」の部分に焦点を当てて、漢字の80%以上を占める形声文字の仕組みを理解しようと次のステップで試みている。
① 漢字の「音」の世界へ誘う
② 形成文字の音記号を学ぶ
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
④ 音記号の性質を理解する
以下、詳しい内容と マルチリンガル漢字指導法研究会が対象とする海外で日本語を学ぶ子ども」を掛け合わせたときの所見(⇒の後)を。
漢字の音の世界へ誘う
「形声文字を理解するには、漢字の音を手掛かりにしなければならない」
けれど、いわゆる中国語から来たこの「音」。日本人の私たちにも何の意味もないので、無味乾燥な暗記になりがち。
で、この本では、次の二つのステップで、遊び感覚で覚えることにしている。
(1)漢字のお経
(2)音の種類の仲間探し
⇒「3年生の漢字の壁」の原因の一つは、
漢字の音訓を同時に学びはじめることにある
と思う。日本で暮らす子ですらそうなのだから、海外で学ぶ子は言わずもがな。
これを「漢字のお経」で、ぽくぽくやりながら覚えるなんて斬新!
ワークでは、1から3年生の漢字で作られたお経があるのだけど、一つの学年だけ紹介して、後は、子供が音読みを50音順に並べ替えて作ったら、より「音」に注目することになっていいかも。
音の仲間探しは、「漢字は(たったの)10種類の音でできていることを子供たちが理解できるように」作られているようだが、別にこれは理解しなくてもいいかな~。
こういう作業を通して、音に着目させるということが目的ならいいけど。
② 形成文字の音記号を学ぶ
「同音の漢字の中から同形部分を抜き出す」「同じ音記号を持った漢字から、音記号を抜き出す」などのワークを通して、形声文字の音記号を学べるようになっている。
⇒漢字の音と形に着目させる授業ってこれまで見たことがないけど、「書きより読み優先」の「海外育ちの子供」には、とても大事なポイント!読めれば辞書も引けるし!
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
3巻で学んだことと総合して、上記の公式をワークを解きながら、整理。
⇒漢字苦手になりがちな子=理系で本になかなか手が伸びない子(我が息子!)には、こういう論理的な理解は向いている気がする。
④ 音記号の性質を理解する
形声文字のの音記号を的確に捉えるために理解しておく性質が3つ。
(1)音記号の位置は一定ではない
(2)ふくらんだ音記号もある
(3)音記号の音が変わることもある
⇒こんな風に漢字を俯瞰する機会ってなかったけど、とにかく覚えろ、習うより慣れろではなくて、こんな風にきちんと仕組みを教えてあげたら、効率よく少ないインプットで漢字を学ぶ「海外育ちの子供」にはいいと思う。
オマケ、↓のプリントもいい!
⇒道村先生の本で紹介されていたけど、「コウ」と音読みする漢字が一番多いとか…それにたじろがずに、こんな風にとことん向き合い、
作文仕立て
作文に合う絵をつける
プリントがいいな~
最後に…長年、「形声文字」の教え方に悩んできた私としては、こんなアプローチがあったかと、目からうろこ!の一冊だった。こんな風にスモールステップを踏めば、少しは「3年生の漢字の壁」が低くなるのか?それはやってみないとわからない。だけど、この手順で全部やらなくても、こういう
フレームワークを親や先生が持っているだけでも、声掛けが変わってくる
と思う。漢字の海の中でおぼれそうな子供に息継ぎや背面浮きを教えてあげたい。