世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

16歳娘、バイリンガルとしてインタビューを受けるの巻

ファシリテーターを務めるマルチリンガル漢字指導法研究会のメンバーからのご要望 

 

  既に漢字イヤイヤ期を脱したお子さんの生の声を聞きたい

  各発達段階で子供はどのように感じ、周囲はどのように支えたのか知りたい

 

に応えるべく、うちの娘が、インタビューを受けることになった。

 

 

主なインタビュー内容

日本語が嫌になった時期があるか?

どうやってそれを乗り越えたのか?

日本語を勉強して良かったと思えた瞬間はあるか?

漢字をどのくらいまで使いこなせるか?

漢字に対してどういう勉強をしたか?

親が~してくれたから漢字学習が続けられたということがあるか?

高学年になり日本語で読書するのが難しくなった時どうしたか?

日本語を学ぶモチベーションは何だったか?

日本語を現地語とバランスよく学ぶことができたか?

保護者や後輩にアドバイス、言ってあげたい事は何か?

 自分の子供に日本語を継承したいか?

 

親の言い訳

 

インタビューの中で、娘が涙目で訴えることに、

 

「中学の時、やりたくないならやめればいいと言われたのが辛かった。」

 

というくだりがある。

正確には、「宿題をやらずにただ惰性で補習校に行くのはやめなさい。宿題をやりたくないのであれば、やめなさい」です(笑)

本人としては、「やりたくないけれど、やらなくてはいけない。でもやりたくない。」なので、慰めたり励ましたりして欲しかったんだと思う。

当時は、アメリカに住んでいて、英語もやらないといけなかったので、もう少し寄り添ってあげるべきだったかな~反省。

 

でも、これは私なりに本人の性格(親に言われたことと反対なことを言いたくなる、負けず嫌い)を見越して、していた選択でもある。中学に入るときに、「補習校続けるか続けないかは自分で決めていい。そのかわり行くのだったらただそこに行くだけというのではなくて、宿題をきちんとやらなくちゃいけない。」と話して、自分でした選択なのだからと、結構突き放していたなと思う。

 

小学校のうちは、「親の選択」を押し付けているという引け目も少しは感じていて、親のためでなくどこかで自分なりに日本語を学ぶ意味を見つけてもらわないと、と焦っていたこともあるかもしれない。

 

ちなみに、現在、中一の息子に、やめてもいいという選択肢はあげてない。

最近、それに気づいて娘がこそっと私に、「ママ、どうして弟にはやめていいって言わないの?」と聞いてきた。

答えは簡単。

同じ歳だけれども、同じように精神的に発達してるわけでは無いので、今、息子にやめてもいいと言ってしまえば辞めちゃうから!

 

新しい発見

 

  親は中2まで子供に伴奏すべき

 

というのが娘の口から出てきたこと。

私は、小六までは親が責任をもって舵をとるべきと思っていたけれども、本人の経験から、小六が早すぎるということがよくわかった。今、中一で正しく!第二次嫌々期に入っている息子に、私よりも娘の方が熱心に、

 

  今は大変、でもやめないほうがいい、もう少ししたら楽になる

 

と説得してくれるほどである。

 

 16年間を振り返って

 いろいろ反省することはあるけど、それでも、やってよかったなと思うこと。

 

 

①確固たる方針を貫くこと

 

  私が私である事を確認するために日本語が必要

 

みたいなことを日本語を学ぶ意義について、娘はインタビューで答えていた。

これは、まさしく私が2つの言語をきちんと教えたいと思った理由そのもの。

娘にそういうふうに話したかどうかよく覚えてないのだけども、娘の口から「自分が日本人であることを確認するために日本語が必要」という話が出てきてそれが彼女の日本語を学び続ける1つの大きな理由になっている事は、意外でもあり嬉しいことであった。おそらく息子はそういうタイプではないので、これから日本語を続けるとしたら別の動機付けが必要なんだと思う。でも、親として何か1つゆるぎないもの持っていると、子供に伝わるか、子供がそれを押し倒して別の何かを見つけるかにつながるんではないかなと思う。

 

 ②子どもを見ながら絶え間なく日本語を学ぶ環境整えること

幼いころの読み聞かせはもちろん、定期的に補習校に通ったり、日本の一時帰国時には、学校に通ったり、同じような状況の友達とプレイグループを企画したり、毎朝、日本語を勉強するようなルーティンを作ったり、年に1度は漢検をセッティングしたり…すごくよく考えてやっていたわけではないけれども、途切れることなく子供の様子を見ながらできることを最大限にやってきたなとは思う。

いろいろ忘れちゃってたけど、娘の話を聞きながら、それが全てなんらかの形で活きてたんだなぁと感慨深くあった。

 

最後に…全体として思ったことは、私は

 

  継承語としての日本語教育をひたすら母語に近い形

 

で行ったんだぁということ。

夫の仕事であちこち住むことになったけど、日本語とそしてもちろんもう一つの母語、フランス語が学び続けられるということを第一条件に、仕事や住む場所を選んできた。

 

でも、それはすべての人にできるわけでない。

仕事や経済的な負担で住む場所や一時帰国を選べない人もいるし、パートナーとの関係で日本語にそんなに力を入れることができない人もいる。近くに日本語の教育機関や友に励まし合える仲間がいない人だっている。

私やうちの子供たちは、本当に恵まれてきたんだと思う。

 

うちの娘の話は、そういうわけで「外国語に近い形で継承語日本語」を学んでいるご家庭にはあまり参考にならないかもしれないけど、何らかの形で読んだ方が自分の継承教育の方針について、考えるきっかけになったら嬉しい。

 

 

 

 

 

 

「するすると漢字をインプットする具体論」セミナー②

前回のつづきで、松田先生のセミナー備忘録。

 

edu-kachan.hatenablog.com

 

 

やってはいけないこと

①読みにとどめる。

ついつい、私たちは「読み」ができたら「書き」と思ってしまうが、幼児の段階では、書きまでやらないほうがいいというのが先生のご意見。

 

→これは漢字に限らずひらがなでもそうだと思うけど、教師に限らず親もなぜか初期の文字指導の「書き」には異様に熱心である。それが、往々にして子供が自由に伸びる芽を摘んでしまっていることが多いので、松田先生の意見に大いに賛成した。

 

②間違いを指摘しない。

万一、幼児が自分から書いた場合には、間違っていても間違いを指摘せず、ひたすら褒める。

 

→これもあるあるの話。多分、どうしても、「最初に間違えて覚えたらずっと間違えてしまう」という強迫観念があるんだと思う。でも前回書いたように、

 

  子供の書く漢字は字ではなく絵

 

思っていれば、この泥沼に足を突っ込まないですむ。意気揚々と「難しい字」を書いて見せに来る子供の出鼻をくじくような事はしたくない。

 

③漢字を単体ではなく熟語で教えていく。

 これはさすがに先生ではいないと思うけど、親は基本的には、幼稚園の時から小学校の先取りをしようと、1年生の漢字の一覧表を子供の覚えさせてしまうとしまいがち。この時、漢字を単体で教えてしまうことが多いけれど、子供にとっては、具体物のほうがうんといいし、実際にそれを使う画面の熟語で教えていた方がずっと定着が良いのはよくわかる。 

 ④実社会で漢字で書くものは漢字で書く。

 これもよくありがちなことなのだけれども、子供がひらがなを習得して漢字を学び始めると、習った漢字は漢字で書き、残りは全部ひらがなで書くといったことを周囲は始める。

 これは一見親切なんだけれども、これもやっぱり子供の学ぶ力を削いでしまっていると思う。そもそもひらがなで書かれた時点で、分かち書きなどしない限り、どこが単語の切れ目かが分からなくなり、意味もわかりにくくなる。その上、実社会にはそういうものが存在しないので、漢字で書かれた時点でわからないと判断してしまう。何が書かれてんだろうと想像する機会を奪ってしまうのだ。さらに後始末が悪いことには、こういうことに慣れていると、

 

  「先生、その漢字まだ習ってません!」

 

と、いちいちこちらの板書に対して文句をつけるようになってしまう。

 

効果的なインプットの方法

①ルビの降り方

 先生のオススメのルビの振り方。

 

  縦書きなら左側に

  横書きなら下側に

 

つまり、私たちが通常やってしまうこと、本などでされていることの逆!

 

これはもっともなことだなと思った。

私たちが物を読むときの視線の移動の仕方について、先生が指摘されていたのですが、ルビが先に目に入ってしまうと、漢字に目が届かないので、いつまでも読めるようにならないという話。なので、わざと見にくくすることが、漢字に触れる機会になり、読めるようになるのではという話。

 

ルビがあると、なかなか読めるようにならないので、これまで「少しずつ消す」という方法をとって起きたけれども、その工夫だけでだいぶ変わるかなと思った。

 

②漢字は「学ぶもの」ではなく「そこにあるもの」という環境づくり

 先生がお勧めしたのは、付箋に物の名前を書きそのものにペタペタ貼っておくという方法。

 

インテリア的には厳しいけれども(特に、ヨーロッパ人は、トイレに暗記するもの貼るというのも許せない人種!)、時々そういうことやってみてもいいなと思った。

 

ある日、学校から帰ったら、教室に入ったら、そこら中に付箋が貼られてて、なんて読むのか予想する。1回剥がしてから、もう一度子供が貼ってみるなんて活動を1度するだけでも意識はずいぶん変わると思う。

 

というわけで、本当に学びの多いセミナーだった。

また、自分の子供やクラスの子供といろいろ試してみて、効果があった事は、記事にしたいと思う。

 

「するすると漢字をインプットする具体論」セミナー受講!

11月30日に learnjapanさんが主催する国語WORKS松田先生の

 

  漢字教育のポイントするすると漢字をインプットする具体論

 

セミナーをオンラインで受講した。

 

 

www.learnjapanonline.com

 

これまでの経験知として持っていたことが、すっきり言語化されて、腹落ちしたことがたくさんあり、とても有意義だった。

 

また、私は幼児教育はしっかりやったことないので、先生のこれまでの経験の集大成を聞かせていただき、それもすごく参考にもなった。 

 

学んだことがたくさんあるので、何回かに分けて振り返りたい。今日は、

 

  幼児にするするとインプットする具体的な方法

 

について。

 


「読み」にとどめる。

親としてはどうしても、欲張って「書き」までやらせたくなるが、「書き」までは教えないことをお勧めしていた。もし、子供が書きたがって書いたとしたら、間違ってもそれを指摘したり、とめはねなどの細かい事の指示を出さない。

→これまでも何度かブログに書いたが、娘を通してつくづく思ったのは、

 

  「読み」と「書き」の両者には大きなハードル

 

があること。まだ、運筆も始めたばかりの子供たちに、画数の多い漢字を書かせたり、なおかつ、マスに収めろと言ったり、「とめはね」をいうのは本当に酷なこと。ただの漢字嫌いにさせる何者でもないと思っていたので、大いに納得した。

 

「読み」は1つだけ教える。

音訓同時インプットなど、欲張らず、

 

  幼児に一番身近な読みを1つだけ

 

教える。

 

→ 幼児に関して言えば、ほんとにこれでいいと思う。

ちなみに小学校でも、1. 2年生までは教科書に出てきた1つの読みだけを基本は教えていく。ただ、そうすると、3年生での負担が著しく大きくなってしまう。

3年生では、

  • 学年配当漢字が160から200個増える
  • 抽象的な語彙が増えてくる
  • 子供も親も学校生活に慣れ、気が緩むころ

というところに、いきなり新出漢字で、音訓同時インプットされると、子供は本当に混乱するし、もうできないと思ってしまう。

なので、小学校に入ったら、両方覚えなくてもいいのだけど、音訓読みそれぞれでできる熟語に触れていくのはとても大事だと思う。

 

漢字単体ではなく、熟語でどんどん教える。

目で見えるもの、子供にとって身近で認識できるものを熟語で漢字を教えていく。この時、あまり熟語の成り立ちなどを、詳しく説明しすぎない。 

例えば、新幹線という熟語はそのまま電車の画像と一緒に子供の中に入れば良いのであって、「新」には新しいと言う意味になるとか読み方があるとかごちゃごちゃ説明しない。

 

→ほかにも先生が出された例、「椎茸、茸、思う、菌類」はどの順で子供にわかりやすいかというのがすごくわかりやすくて、大いにうなずいた。

ついついごちゃごちゃ説明したくなるけど、子供が気づくまではいちいち説明しないことの大事さもよくわかる。大体ごちゃごちゃ説明しても聞いてない(笑)!

 

発音よりも漢字の意味を優先して教える。

読みができなくても、その漢字を見れば、何を指しているかわかる方が優先。

漢字は表意文字なので、その意味を見えるようにすると、子供はどんどん覚えていく。なので、学年配当漢字など、全く無視して、子供にとって意味にアクセスしやすい漢字から導入する。例えば、子供にとっては、「犬」というより柴犬という漢字の方がはるかに身近で、覚えやすいとのこと。

 

→自分が全くその国の言語を理解しない国へに行った時のことを思い出しながら聞いていた。

すぐに覚えてしまうのが、「出口」「入り口」「トイレ」などの言葉だ。発音できないけれども、必要だし、コンテクストから理解して、すぐに認識できるようになる。

先生が言いたい事は、子供にとっての漢字も私たちが外国語の表記を記号としてそのままとらえるのと、同じだということだと思う。

読めなくても、子供にとって必要な漢字をそのまま画像としてインプットしていけば認識できる漢字数も増えるし、自然に読めるようになるだろう。

最近娘にやっているのは、テレビの天気予報の一覧表で自分の住んでいる「東京」の情報を読み取ること。きっと、給食の献立を漢字かな混じり文で朝、見るのもいいだろうな。こういう実生活に結びついたものはきっとするする入るはず。

 

幼児にとって漢字は「記号」「画像」と心得る。

  子供たちにとって、漢字は絵を書いているのと全く同じ感覚

 

と先生は言う。

文字に正誤あるが、絵には誤りは無いはず。

なので、子供の書いた漢字にいちゃもんをつけない。

 

→これは全くその通りと思っていて、小一の娘には、これまできれいに書けとは言わずにきた。

ただ、小学校に入り、先生から注意を受けるようになった。

  

  「はじめに変な癖をつけないことが大事」

 

という先生からのごもっともなコメントに、もう少し注意した方がよかったかなと、ちょっと気持ちが揺らいでいる時だったので、これがなにげに私にとっては1番ありがたい話だった。気持ちが固まった。

 

  幼児の時は漢字は絵なのだから、指導しない。

  小学校になったら、字として少しずつ指導を入れていく。

 

それでいいんだと。

 

今回のセミナーの講師、松田先生は、もともと素読の先生である。

漢字の話だけでなく、素読の話や子供を飽きさせないテクニックなども、すごく勉強になった。

先生になってしまうと、自分が教えることばかりに熱中してしまうけれども、身銭を切って、一流の先生の授業受けることの良さを改めて感じたセミナーだった。海外で教えてる先生はもちろん、日本で教えてる先生、親御さんにお勧めしたい!

 

次回、効率的なインプット方法とやってはいけないことについて、続きを書く予定!

乞うご期待!



kokugo-works-h.main.jp

 

Marna Shupatto~最近買ったお値打ちもの!

バイリンガル育事は子供も親も時間との戦いである。
何といっても、言語習得には時間がかかる。
コツコツ勉強しなくてはいけない事はどうしてもあるし、読書も必要だし、何よりも学校にまつわる仕事が半端ではない。
補習校に行くにしても、今の家のように、フレンチスクールの休みの間だけ日本の学校に行くにしても、その手続きや制服や学用品の準備など、目に見えない仕事がいっぱいある。

なので、ママ友と集まるとどうやって時短家事を実現する情報交換は、貴重。
というわけで、このブログにも時短家事という項目を作ってみることにした。

今日のオススメはこれ。

もともと、買い物バックを持ち歩く方だったが、最近は日本も有料になったので、みんなが持ち歩くようになり、いろんなバックが販売されるようになった。

なにげに、めんどくさかったのが、

  買い物バックを持ち歩くことより、たたむこと

これを解決してくれるのはこのバック。
その名の通り左右にしゅぱっと引っ張るだけで形が作れ、後はくるくると巻くだけでしまえる。


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それに良いのは、レジの人に生産をお願いするときに
先に空のカゴにセットしておけば、わざわざ精算を済ませた後に、もう一度袋に入れ直すという手間も省ける。


おそらく、これで節約できる時間は、買い物1階につき、2、 3分だろうけど、それも塵も積もれば…である。
サイズが色々あるので、買い物かごにセットしたい場合は、Lサイズで!

しかもいろいろなモチーフや大きさが用意されていて気分も上がる。
和柄もあるので、今度のフランス帰国時のお土産にもなりそう!
超オススメ!

小1娘、漢字リズム音読にトライ

漢字の「書き」は、習得までに思ったより時間がかかる事はわかったけれども、

 

  漢字は部品の分解合成という視点をもててる

  部品の名前が定着しつつある

 

ことから、書きの習得は学校にある程度お任せすることにして、

 

  漢字の音の先取り学習

 

を家ではやってみることにした

というのは、後から付けた理屈で、最近知ったリズム音読を試してみたくてたまらなくなったのだ。

 

edu-kachan.hatenablog.com

 

 

娘がつまずいたところ

はじめのうちは、ゲラゲラ笑いながら、リズム音読していた娘。9月から仕事を始めたこともあって忙しくしていた私は、これならほっといても勝手にやってくれると本人のやりたいように任せて、覚えたら持ってきてと言って放置していた。しばらくすると、なかなか覚えられず、やりたくないと言い出した。

 

すぐに覚えられると思ってしまう


2、3回、音読すると、すぐ覚えたと思ってしまうようで、私のところに持ってきて読むといい出す。著者の小野さんは、大体YouTubeに収められているリズムの1.25速で読めると合格とおっしゃっているが、私は、あまり速さにはこだわっていない。それでもあまりにつまずくので、やり直しになる。学校なら、仕方ないと思うみたいだが、当然やりたくなくなる。


なじみのない熟語が覚えられない


当たり前だが、やはり聞き慣れない漢語、意味のわからない単語は覚えられない。その数が増えてくると、意味を聞くのも嫌になってくるしやる気がなくなってきてしまった。

 

達成感が持てない

 

毎日10分程度しかやっていないのだけど、本人にしてみれば、やってもやっても終わりがないと思ってしまうようだ。特に、これまで、ドリルやワークが1冊終わるごとに、お楽しみを用意していたので、なおさらそう思ったようだ。

 

取った対策

最低5回は音読という目安を示す

 これは、著者の小野さんから直接いただいたアドバイス。小野さん自身もオンラインで個別指導するようになってから行う必要性に気づいたとのこと。具体的な練習回数の目安を示すことで、「やってもできない!(実はやっていない(笑))」という不要な徒労感を避けられる!ちなみに、うちは結局10回は読まないと覚えられない。なので、最初から10回にすべきか迷っている。


ツーステップに分ける

 1つのリズム音読文を半分に分けることにした。大体、最初の熟語は、子供にとってなじみやすい熟語が選ばれているので、これでだいぶハードルが下がった。

 

 ゴールを設定して、進捗状況を可視化する

 こんな表を作ってみた。(娘でお試し版なので、色気がないけど…)

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この表のポイントは4つ。

 

① 一学年の漢字を全て終わらせるのに2回分けて考える。

   リズム音読の前半(1つの熟語だけ)を覚えること

   全体を覚えること

 

② 「5回読む」読んだ回数を正の字で記録

 

③ 「チェック」で指導者にテストしてもらう

 

④ 「バラバラテスト」で熟語だけで読めるかをテスト

 

 そして、半分バージョン、全体バージョンが終わるごとに、それぞれお楽しみご褒美という仕組みにした。

 

本当にできているかを確かめる大切さ

 

  リズムが楽しすぎて覚えてしまい、本来の漢字の読みの学習になる?

 

という疑問が研究会で出た。もっともなことだ。

ドリルでもそうだが、子供はもちろん、親や保護者も

 

  こなすことに満足

 

してしまいがちで、この視点を忘れてしまう。

娘に試したところ、案の定、楽しく音読はするけど、漢字だけ示されると覚えていなかったので、上記の④の1ステップがぜひとも必要だった。

 

良い教材を使いこなすには

 

この3つの対策で、娘は、再び楽しくやり始めた。やっぱり、良い教材でも、

  

  学習者によってこういう微調整はとても大事。

こういうのは子供と対峙しながら臨機応変に考えていくしかないのだけど、今回、マルチリンガル漢字指導法研究会の仲間の助言で、はっとしたこと、目からうろこのことも多く、

 

  指導者には仲間との交流が必要

 

とつくづく思った。


マルチリンガル漢字指導法研究会、やっててよかった!

 

 

 

 

ブックレビュー ハワイ生まれの漢字リズム音読

またまた、漢字指導に関する本の紹介。 

 

 

この本を手に取った理由

漢字の習得には、「形」「音」「意味」の三つを融合させていかないと定着しない。形だけ覚えても、音が伴わなければ記憶にとどまらないし、そもそも使えない。音を覚えても、その漢字がもつ意味を理解していなければ、色々な熟語の中でつかうという応用が効かない。

だから、これまでこの3つの要素を融合しながら、教えるように努めてきたのだけど、海外で教えていた時に感じたのは、

 

  三つを同時にやる事は、子供にものすごく負担が大きい

 

ということ。なので、要素ごとに分けて

 

  スパイラルに何度かあつかった方が結果的には定着する

 

のではないかと。

 

この本は

  「音」に思いっきり焦点を当てた数少ない教材

 

なので、前から気になっていたもの。


この本ができたわけ

この本が「音」に焦点が当たっているのには訳がある。

それは、この本の著者、小野ふじ子さんは、ハワイの補習校の中学部で教えていた時に由来する。彼女は、

 

  びっしりとふりがなが振ってある生徒の教科書

 

に驚いたという。

 

  忙しい中にする親御さんの負担を少しでも軽くしたい

  せめて漢字を読めるようになって読解してほしい

 

という思いでこの教材を開発されたのだ。

 

この本の仕組み

値段
  • Kindle版 3900円
  • PDF版  50ドル+paypal手数料 直売:kanji.rhythm.ondoku@gmail.com
  • セミナー受講者(案内は一番最後)は、PDF版 39ドル+paypal手数料

PDF はドル建なので要注意!でも、PDF購入後、メールで著者のフォローアップが受けられる!

個人的には、PDF版が以下の点でお勧め!

  • 目的のページを押すとそのページに飛べるので使い勝手がいい。
  • 色がきれいで見やすい。
  • 後日、訂正や新情報がもらえる。

  (このブログ『世界の学校』を見たと伝えてください!)

網羅されている漢字、読み方
  • 1~6年生までの漢字の読み方音読み訓読みが全てが網羅されている。
 並び順
  • 学年配当漢字ごとに、「訓読み」「送り仮名のある訓読み」「音読みのみ」「音訓両方の読み」の章立てでそれぞれ音節数に従って学年ごとにに整理されている。

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その他の特徴
  • ラップ調のリズムにのせて覚えられるしくみ。(本の中にQRコードがあり、YouTubeに飛ぶ仕組みになっていて音も聴ける)
  • 言葉の選出規準は、「お母さん目線で知っておいてほしい言葉」
  • 言葉に関係がある絵があり、語彙理解を助ける。

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著者(小野ふじ子さん)のセミナーで学んだこと

 著者の小野さんは最近私がファシリテーターを務めるマルチリンガル漢字指導法研究会の仲間になってくださったので、早速、定例会で発表していただいた。そこで学んだこと。 


子供の実態に応じてアレンジできる、する!

この本はすべての読み方が網羅されていること、長期的に考えて必要な難しい熟語、慣用句などが盛り来られている分、量は膨大で、初めは、ウっと来る。

おそらく、いきなり全部やろうとすると、挫折する。

なので、セミナーで、具体的に、「ここから始めたらいいよ」「難しければ半分ずつ」などのアレンジの方法を聞けたので、有効活用できそう。

そして、何よりもこの本を盲目的に使うのではなく、

 

  慣れたら自分で、または子供たちと作ってみてください

 

というのが、個人的には、腹落ちした。

どんなにいい材料、レシピをそろえても、最後の塩加減はやっぱり自分で、食べる人に合わせて決めないと!

そんなアレンジのヒントをもらえた!


補習校でも個別オンライン授業でも使える

 セミナーでは、補習校などの集団授業で使う場合と、オンラインレッスンのような個別で使う場合を小野さんの実践例を交えて、お話しいただいた。

 

  集団での唱え方

  かかる時間の目安

  先生と親の違いに合わせた支援法

 

等がとても勉強になった。

 

毎日15分、子供に親が付き合うという事

教材そのものとは直接関係しないのだけど、このセミナーで個人的に一番衝撃的だった言葉は、

 

  海外で子供に漢字を習得させたいと思ったら、

  一日15分くらい親が子供に付き合わないとね、

  それは無理。

 

という言葉。私もそう思うし、そうしてきたけれど、改めて背筋がピンと張る思いがした。そして、保護者に対してもこれくらいきっぱり言わないとダメなんだと、学んだ。

 

使えるようになるまで

 正直、キンドルで見たときには、あまりピンとこなかった私。でも、

 

  PDF版を手に入れられて紙で見たこと(著者直売)

  定例会で著者自身が実践例を紹介してくれたこと

 

で急に自分の子供や教室で使うアイデアが降ってきた~

次回、我が家の実践例を記事にします~!

 

***

マルチリンガル漢字指導法研究会で漢字リズム音読のセミナーを開催することになりました~!

www.learnjapanonline.com

 

 

 



 

漢字を書こう⑤~子供の文脈の中でアウトプット

少し間が空いてしまったが、101漢字を一通り教えた後、書けるか試してみたら、それでほどでもなかったという話を以前に書いた。

 

edu-kachan.hatenablog.com

 

漢字の書きがスムーズにいかなかったわけ

本人が覚えなくてはならないという意識がこれまであまりなかった。

テストすることで、その意識が芽生えた。

テスト自体のやり方が悪かった。

いわゆる、テストの様式に馴らすというステップを抜いてしまった。子供が全体像をつかんで、やることの意味を分かってからやらないと、本当の実力が分かりにくくなる。

教える量が少し多すぎた。


など、いろいろ反省点が見えてきたけれども、ここで、「やっぱり繰り返し書く」に逆戻りはしたくない。そこで、ドリル以外に書く回数を負担なく増やす方法を考えた。

 

ドリル以外方法でアウトプットの数を増やす

私の考えた方法は、

 

  ひらがなメインで書いたレシピ帳を推敲をして漢字に直す活動

 

前に、かわいいノートを買ったら、自分の好きな料理をママがいなくても作れるようになりたいと言って、レシピ帳を書き始めている娘。

 

これまでは、とにかく「文章書く」ということをメインに考えてきたので、誤字脱字についてもあまりうるさく言わないように気をつけてきた。もちろん、本人は書くのに精一杯なので、カタカナで書くべきところ、漢字で書ける言葉等に意識が全く向いてこなかった。なので、

 

  本人がやりたいこと(レシピ帳を作る)に、漢字の書きの学習を掛け合わせる

 

ことにした。

 

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推敲のハードルを下げるための工夫

といっても、誰もが嫌がる「推敲」だ。私も嫌いなので気持ちはよくわかる。そこで、2つの工夫をした。

 

カラーシールを使う。

子供が嫌がるのは、何といっても、一度書いたものを消すこと。

めんどくさいし、大体汚くなってしまうので、嫌がる。 

そこで、少しでも気分を上げるためにシール、しかも好きな色を選ばしてあげることにした。

 

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大人にとってはどうでも良いテクニックのように思うが、これだけで、少し遊び心が入って、娘は、「何色にしようかなぁ」と言いながら、遊び半分で字をを直すことができた。 

 

1回につき10個までと決める。

 これも結構大事だなと思っていて、何でも完璧を目指さなくても良い。

 

  終わりが決まっていると、子供はやる気になる。

 

なので、

 

  読み返して、書けそうな字を自分で探す。

  本人が見つけきれなかった字をこちらで教えてあげる。

  漢字で書いてみたい言葉を選んで、こちらが教える。

 

というステップでやってみた。最後のステップは、そのうち辞書を引くというふうに変えて行けたらなぁと思っている。

 

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この活動が本人がすごく好きかと言えば、そうでもない(笑)

だけれども、ただ単に直せと言うよりかは、嫌がらずにやるので、漢字のアウトプットの1つの方法、推敲の1つの方法としては有効かなと思う。

 

いずれにしろすぐ飽きちゃうので、手変え品替え~笑