世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

カーンアカデミー ✖ 凹タイプ

自閉症スペクトラムと診断され、日本で特別支援教室に在籍する4年生のお母さんの悩み。

 

4年生になり、学校にも慣れてきて、一般級の子供とのトラブルも減ってきたが、学習面が心配になってきた。今年の先生になって、宿題もあまり出ないし、学習内容が後退しているような…自分でドリルをやらせ始めたけれど、学校と違った教え方をすると、本人は混乱するし・・・。

 

よく聞く話だ。支援教室の先生が手いっぱいだったり、うまく引継ぎが行われていなかったりするのだろう。

私のアドバイスは、

  • 率直に心配事を先生と共有すること。
  • 具体的にそれぞれの教科が何年生レベルにあるのか、教えてもらうこと。

教師は、完璧じゃない。4月に受けもって、一人ひとりの実態を把握して、適切な課題を用意するのは容易ではない。でも、もう7月。1学期が終わろうとしているところで、指導方針を固めて、軌道修正が必要ならしてもらうべきだ。大事なのは、

  教師を批判したり、任せきりにするのではなく、寄り添って情報を共有する姿勢

だと思う。それができたら、子どもにとってよりよい方法を見つかるはず。

 結局、個人面談でうまく話せて、先生も要望に応えて、指導法に軌道修正を加えてもらえたようで、よかった。

 

前置きが長くなったが、その子の指導のヒントを得るために、カーンアカデミーを使ってみた。

 

ja.khanacademy.org

 

本当は、凹タイプには、

  説明ビデオの言葉が難しすぎる、話し方が速い

ので、カーンアカデミーは不向きと思っていた。幼児レベルの内容の説明で、「同じ」の意味で「等しい」が使われていたりするので。凸タイプは、それでも「好き」が勝って、食いつくのだけど。だが、結論から言えば、使いようによってはいけるかも。

  • 設問に正解した時の音、普段触れせてもらえないパソコンで学習していることがモチベーションをあげる。
  • 説明は、子ども本人のためというより、親のためと思えばよい。「説明の仕方がわからない」という悩みの一つの答えになるだろう。
  • 簡単にレベルを上げた問題や下げた問題に取り組めるし、その子のレベルが把握しやすい。

そのお母さんとは、二つの指導のコツを共有した。

  • 遊び感覚でできるように、定期的に声はかけるが、本人の気が向いた時にする。本人が自分からやりたいと言ったらしめたもの。
  • 「すでにマスター」⇒「チャレンジ問題」⇒「すでにマスター」の順番で学習を進めて、本人が気持ちよく学習を初め、終われるように配慮する。

これが、算数に興味を持つきっかけになるといいな。