世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

日仏、授業中に求められる発言の違い②~タイミング

前回に続き、意外と難しい発言のタイミングの違い。

簡単にスポーツに例えて言うと、

  日本は、テニスやバレーボールのようなネット型

  フランスは、バスケットやサッカーのようなコート型

なのだ。

つまり、日本では質問者が質問した後に、少し間があって、回答者が応えて、という感じで、テニスのように言葉が交互に混ざりあうことなく、行き来する。

一方、フランスは、攻守が入り交じり、相手が話しているうちから先読みして、自分の主張を重ねて言ったり、授業のように(先生ー生徒)のような多少の力関係がある場合には、言葉を重ねないまでも言い終わらないうちに、挙手して言いたいことがあることを表明する。

 

多分、これは

  文法構造の違い

も関係するのだろう。

動詞や肯定否定の表現が最後に来る日本語は、最後まで聞かないとわからない。

英語やフランス語は、主語の後にすぐに動詞が来るので、話の流れは頭の回転がいい人にはすぐ見えるのだ。

 

後は、やっぱり、

  文化の違い

自己主張をするのが普通、しないと損する国なので、我さきと自分の主張をするのだ。

日本は、やはり全体の空気を読んで発言しないと思うと、全体の場で声を出すのは勇気が要ることなんだと思う。

前に、ゲストティーチャーとして、補習校で「視覚障害者の学び方」というのをしたことがあるのだけど、

  全体の場で臆せず色々質問してくるのは、海外育ちの子

で、日本から来たばかりの子は、授業が終わってから、そっと質問に来たりして…いい質問なのに!みんなにシェアしてほしかったと残念に思ったものだ。

 

私自身、フランスに最初住み始めたとき、結構、この違いに悩まされた。

どのタイミングで人の会話に入っていいかわからず、自分に振ってくれるのを待っていると、そういう「気を遣う」という文化がないフランスでは、永遠に自分の番は巡ってこない(笑)。フラストレーションがたまった。

 

フランス語のハンディも何とか乗り越えて、このやり取りに慣れて、ストレスなくフランス人の輪に入れるようになったころ、日本に帰国。

今度は日本で苦い思いをした。

無意識に上司の言葉の途中で、口を挟みぎょっとされたり、子供の学校のPTAの会で順番に話すことに耐え切れず席を立ってしまったり…。

あとから、フランス在住経験のある先輩ママに

  「あのね、PTAの会合はすごろくなの。絶対に順番を飛ばしてはダメ」

と諭され、なるほど~と反省したのを覚えている。

私は一応、日本育ちなので、やった後に、しまった!と気づくことはできる(笑)でも、うちの子供たちはどうなのかな~?

多分、息子は気づかないだろうなぁ。

娘は、気づく時が時々あって、かえって苦しいかなぁ。