世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

日常生活を漢字につなぐ一押し④~新型コロナウィルスの新型って?

「子供から、新型コロナウィルスの『新型』っていどういう意味?って質問があったんだけど、即座にうまく返せなかった。どうすればよかったか?」

先日、マルチリンガル漢字指導法研究会の定例会でメンバーから、こんな質問があった。
  https://www.learnjapanonline.com/multilingual-kanji/

現在、小3年生で小2の漢字の学習がちょうど終わったばかりの海外育ちのお子さん。
この時点で、親御さんが

  日常生活の会話にこういう言葉に接することができる環境を整えていること
  漢字と結び付けて教えたいと考えていること

自体が、素晴らしいなぁとまず思った。
で、私だったらどう応えるかを考えてみた。

外来語と漢語の複合語であることに気づく

「長いのによく聞き取ったね~書ける?」とか言いながら書いてもらう。
おそらく、

  シンガタコロナウィルス

と書くと思う。
「そうそう、日本の外から来た言葉には片仮名を使うんだったね」といいながら、

  しんがたコロナウィルス

と書く。
「この『しんがた』は日本の言葉、新しいタイプって意味なんだよ。コロナウィルス自体は前から見つかっていて、今回新しいタイプに変身しちゃったから、誰もばい菌と戦う準備ができてなくて、世界中が大騒ぎになっているんだよね。」

漢字を予想してみる

「では、問題です。この『しんがた』の『しん』は、どの漢字を使うでしょう?新?親?深?」

既習漢字で「シン」と読む漢字から3択くらいにしてあげるといいと思う。
おそらく、説明した意味と結び付けて「新」が選べるはず。
そしたら、

  漢字には音訓読みがあること
  訓読みを頼りに、意味を考えて、漢字を当てはめればいいこと

が、子供の中にストンと入るはず。

この辺で説明をとめるのが妥当だけれど(長くなると子供は嫌がる!(笑))、もし食いついたら、あるいは別の機会に↓をつづけるのもあり!

一つの漢字から、別の熟語探し

「じゃあ、この『新』がつく言葉、何があるかな?」

  新発売、新式、新人、新車…

とか、家族で出せたら楽しい。

時々、「深呼吸」とか「親戚」とかいう、間違えをしてくれたらなおいい。
「いい間違え!しんこきゅうは深く呼吸するから深いっていう字を使うんだな。」
とか、説明するといいと思う。

切り返しのコツ

なんとなく、子供の質問には

  即切り返さないといけない
  うまく説明しないといけない

と思いがちだけど、「へぇ、面白いことに気づいたね。」とか受けといて、

  後から

「さっきの質問だけどさ~」と持ち出しても、構わないと思う。
あとは、説明しようと思わないのもコツかも。

  質問には質問で返す

くらいな気持ちで。


メンバー素朴な実例を投げかけてくれたおかげでいろいろと考えるきっかけ、いつか開くだろう引き出しが一つ増えて嬉しい私だった。