ブックレビュー「Excelスキルをド素人状態から達人級にまで高める方法」
漢字がたのしくなる本ワーク⑥~漢字の単語あそび
漢字がたのしくなる本ワーク⑥
シリーズ最後の本。
【お勧めの人】
- 中学年の漢字を半分以上は習得できていて、もう一段階上を目指す子ども
- 漢字そのものから、熟語(特に漢語)習得をサポートしたい親、先生。
- 漢字習得の最終目標を「漢字から意味を推測する力」と考えている親、先生。
【お勧めのレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
これまで、漢字そのものとその仕組みを遊びながら身に付けてしまうというものだったが最終巻では、
学び、覚えた漢字を日本語の中でどう使いこなすか
ということを遊びながら身に付けようという内容。
「一つ一つの漢字そのものを覚えても、それが日本語の中で、日本語の単語としてどう使われているかが分からなければ、漢字を生きた言葉として使いこなすことができない。」
という筆者の考えには大いに賛成である。
①漢語と和語
②漢語のいろいろ(2字、3字、1+2字など)
③漢語の組み立て(6種類)
④漢字の音と意味
の大きく4章構成になっているが、すごくすごく内容が濃くて、唸る~。
以下、マルチリンガル漢字指導法研究会の「海外で育つ子ども」たちを念頭において、中身を深堀…。
漢語と和語
⇒同じ意味を表す言葉でも和語と漢語があることを知る。
海外で育つ子どもは、圧倒的に和語ばかりを聞いて育っているので、親も含めて漢語を意識しないと…ワークの言葉も説明が必要な子供がたくさんいるだろうなぁ。
やっぱり、この段階まで来たら、漢字力と語彙力は車の両輪でどちらが欠けていても、積み上がりにくい。どれだけ、音読、読書を積み重ねてきたかの差が、明暗を分けると思う。
ま、どうせ完璧にはなりっこないので、このあたりから子供自身と目標を共有して、現地語で訳を付けて、「母語」から「外国語」に近い感じで、学んでいくといいのかも。
漢語のいろいろ(2字、3字、1+2字など)
⇒読めなくても、漢字の意味が分かって、漢語の組み合わせが分かれば意味が分かるという、漢字を覚えるメリットがよくわかる
日本語によくある「略語」も、知っておくだけで新聞の見出しとかとっつきやすくなると思う。
漢語の組み立て(6種類)
↑これらは、国語の教科書でも取り上げられている内容。
⇒本で紹介されているゲームも楽しそうだし、前に紹介した熟語博士のカルタ↓みたいなのを作ってもいいかも。これは1,2年生の漢字しか使っていなかったので。
漢字の音と意味
これは、5つの部分
(1)同じ音の漢字・同じ音の漢語
(2)いくつもの意味をもつ漢字
(3)似た意味をもつ漢語
(4)漢語の意味のつかみ方
(5)漢語をつかった文と和語の文
に分けて説明されているのだけど…
個人的には、子供が音読みに躓く理由がよく分かって、(2)(3)あたりは特に唸ったところ。このくらいスモールステップを踏んであげないといけないのかと。
同じ音の漢字・同じ音の漢語
⇒いわゆる同音異義語。
ややこしいと言えばややこしいが、
こんな日本語をうまく利用して落語やとんち話を成り立たせてきた先輩の例になって楽しみましょう
としている発想がイイ!
いくつもの意味をもつ漢字
⇒いわゆる多義語。
「漢字には意味がある」と分かっても、日本語への接触数が限られる「海外育ちの子」は、二次的、三次的な意味まで自然に習得できてないことが多い。このワークのようなステップが必要なんだと気づかされた。
似た意味をもつ漢語
⇒これはかなり難しい…このワークをやったからってできるようにはならないだろうなぁ(笑)自分が外国語を学んだり、使っているときのことを考えても、文脈にピッタリ合った似た意味の言葉を選んで使っているとは思えない…かなりハイレベル。
漢語の意味のつかみ方
⇒このレベルまで来た子供なら、大抵の場合はこういう思考回路を持っているように思う。もっと早い段階でこういうワークをしてあげるといい。
漢語をつかった文と和語の文
⇒これは面白い。受ける印象の違いを子供の言葉で聞いてみたい!和語の世界に基本生きている「海外育ちの子」には、漢語の世界を意識させるいいワーク。
これで、全6巻のレポートは終了。
全体を通して考えたこと。
「海外で育つ子ども」たちにとっての漢字。
楽しいだけで程々にやりたいのであれば、1巻だけで終わらせた方がイイ。
きっと、1,2年生くらいまでは日本の学校に夏、体験入学してもなんとなく楽しめて、海外では神秘的な漢字を少し書けることに誇らしさを覚えて、日本にいいイメージをもって育ってくれる。
でも、個人的には、漢字を学ぶ意味は
漢字の知識がなければ、小学校中学年程度の日本語能力で頭打ち
になると思うからなので、
何とか、6巻のレベルまでもっていってほしい。
別に、小学校6年までの漢字が全部読めたり書けたりしなくてもいいし、書き順が違っても、字形が悪くてもいい。
漢字から日本語の意味を推測できるセンス
を身に着けさせてあげたい。
そこまで親や先生がサポートしたら、後は語彙を増やすとか、字形を整えるとか、そういうのは本人がやりたければやればいいし、やりたくなった時にやればいい。
ふう…何とか年内にマルチリンガル漢字指導法研究会のみんなに届けようと、駆け足のレポートだったけど、伝わったかなぁ。来年は、実際にこれを使って授業案を考えたり、子供とやってみたりしたい!!
今年のブログは、漢字で始まり、漢字で終わる~。あの時、ぼんやり考えていたことから、随分歩めて大満足。よいお年を~。
漢字がたのしくなる本ワーク⑤~形成文字あそび 形成文字2
漢字がたのしくなる本ワーク⑤
【お勧めの人】
- とことん読める漢字を増やしたい子ども
- 論理的にものを考えるタイプの子ども
- 形成文字って何?と言われてもうまく説明できない親、先生
- 学年配当の漢字とか教科書とかを忘れて漢字でとことん遊ぶ勇気がある親、先生
【お勧めレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと、4巻で大体つかんだ形声文字の仕組みをもとに、
漢字の「音」でとことん遊んで、体得しよう
という巻です。
① 漢字の十字路
② 形成文字カルタ1~象形文字が音記号
③ 形成文字カルタ2~会意文字が音記号
④ 形成文字カルタ3~今では漢字として使われないものがと音記号
という構成で、
漢字の大部分を占める
形声文字は、意味を表す部首と音を表す音記号でできているという仕組みを復習、ワークやかるた遊びを通して、
簡単な音記号から難解なものへとスモールステップで
身に着けていく。
この巻に本腰入れて取り組むなら、別売りの
が必須。
例によって、以下、マルチリンガル漢字指導法研究会が対象とする「海外で学ぶこども」と掛け合わせながらの内容の紹介と所見を(⇒の後)
漢字の十字路
⇒形成文字の仕組みを目で見て分析的に捉えられていい。4巻の復習になると思う。
形成文字カルタ1~3
⇒子どもが覚えやすい「音記号」からスモールステップを踏んで教える、遊べるのがとてもいい!カルタ遊びと言われても、いきなり108並べられたらうっと来る。
⇒それぞれの章で紹介される「音記号」を体得するためのワークもすごくイイ!
それに、いろいろなカルタの遊び方が紹介されていて、どれも試す価値あり!!
最後に個人的な感想。
小6の息子とやりたいワーク、遊びが満載な本
だった!
とはいえ、学校の授業で課される漢字テストの勉強と2月受験予定の漢検の勉強とで、なかなか時間が取れないだろうな。海外でも補習校の授業で扱おうと思うと、別の何を削るかというところで勇気がいると思う。
私自身が知らないこともいっぱいあったので、まずは自分が楽しんで、息子の漢字勉強の時に豆知識を小出ししていこうかと思っている。
でも、
今までの漢字指導の方法に限界を感じている人
学年配当漢字にこだわらなくていい環境にいる人
は、迷わずじゃんじゃん試してほしい!
漢字がたのしくなる本ワーク④~漢字の音遊び、形声文字Ⅰ
漢字がたのしくなる本ワーク④
【お勧めの人】
- 5年生以上の漢字にもチャレンジしたい子ども。
- 書けなくても読める漢字を増やしたい子ども。
- 子どもの音読や漢字学習を手伝いながら、応用力がつくコメントをしてあげたい親
- マンネリ化している漢字学習にさし色を入れるヒントが欲しい先生。
【お勧めのレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと…
形成文字の「音」で遊びながら、その仕組みもわかっちゃお!
という本。
漢字がもつ「意味」と「音」の「音」の部分に焦点を当てて、漢字の80%以上を占める形声文字の仕組みを理解しようと次のステップで試みている。
① 漢字の「音」の世界へ誘う
② 形成文字の音記号を学ぶ
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
④ 音記号の性質を理解する
以下、詳しい内容と マルチリンガル漢字指導法研究会が対象とする海外で日本語を学ぶ子ども」を掛け合わせたときの所見(⇒の後)を。
漢字の音の世界へ誘う
「形声文字を理解するには、漢字の音を手掛かりにしなければならない」
けれど、いわゆる中国語から来たこの「音」。日本人の私たちにも何の意味もないので、無味乾燥な暗記になりがち。
で、この本では、次の二つのステップで、遊び感覚で覚えることにしている。
(1)漢字のお経
(2)音の種類の仲間探し
⇒「3年生の漢字の壁」の原因の一つは、
漢字の音訓を同時に学びはじめることにある
と思う。日本で暮らす子ですらそうなのだから、海外で学ぶ子は言わずもがな。
これを「漢字のお経」で、ぽくぽくやりながら覚えるなんて斬新!
ワークでは、1から3年生の漢字で作られたお経があるのだけど、一つの学年だけ紹介して、後は、子供が音読みを50音順に並べ替えて作ったら、より「音」に注目することになっていいかも。
音の仲間探しは、「漢字は(たったの)10種類の音でできていることを子供たちが理解できるように」作られているようだが、別にこれは理解しなくてもいいかな~。
こういう作業を通して、音に着目させるということが目的ならいいけど。
② 形成文字の音記号を学ぶ
「同音の漢字の中から同形部分を抜き出す」「同じ音記号を持った漢字から、音記号を抜き出す」などのワークを通して、形声文字の音記号を学べるようになっている。
⇒漢字の音と形に着目させる授業ってこれまで見たことがないけど、「書きより読み優先」の「海外育ちの子供」には、とても大事なポイント!読めれば辞書も引けるし!
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
3巻で学んだことと総合して、上記の公式をワークを解きながら、整理。
⇒漢字苦手になりがちな子=理系で本になかなか手が伸びない子(我が息子!)には、こういう論理的な理解は向いている気がする。
④ 音記号の性質を理解する
形声文字のの音記号を的確に捉えるために理解しておく性質が3つ。
(1)音記号の位置は一定ではない
(2)ふくらんだ音記号もある
(3)音記号の音が変わることもある
⇒こんな風に漢字を俯瞰する機会ってなかったけど、とにかく覚えろ、習うより慣れろではなくて、こんな風にきちんと仕組みを教えてあげたら、効率よく少ないインプットで漢字を学ぶ「海外育ちの子供」にはいいと思う。
オマケ、↓のプリントもいい!
⇒道村先生の本で紹介されていたけど、「コウ」と音読みする漢字が一番多いとか…それにたじろがずに、こんな風にとことん向き合い、
作文仕立て
作文に合う絵をつける
プリントがいいな~
最後に…長年、「形声文字」の教え方に悩んできた私としては、こんなアプローチがあったかと、目からうろこ!の一冊だった。こんな風にスモールステップを踏めば、少しは「3年生の漢字の壁」が低くなるのか?それはやってみないとわからない。だけど、この手順で全部やらなくても、こういう
フレームワークを親や先生が持っているだけでも、声掛けが変わってくる
と思う。漢字の海の中でおぼれそうな子供に息継ぎや背面浮きを教えてあげたい。
漢字がたのしくなる本ワーク③~部首あそび
漢字がたのしくなる本ワーク③
【お勧めの人】
- 小学校3年生くらいの子供
- 子どもと一緒に漢字を楽しもうと思える余裕がある親、先生。
- 学年配当にこだわらずに、漢字を楽しんでほしいと考える親、先生。
- 「急がば回れ」の精神で、子供の漢字学習に臨める親、先生。
- 教科書の部首の単元導入、あるいは、まとめのゲームのヒントが欲しい先生。
【お勧めのレベル】
5/ 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと、
漢字は一つ一つバラバラではなく、部首を通して意味のつながりが目に見える
もんなんだということを学ぶ巻。
漢字は意味と音を持った文字であり、その意味と音で仲間を作っている。前者が「部首」であり、後者が「音記号」。この巻では、その部首に焦点を当てている。漢字の大部分を占める「形声文字」の布石になっている。
部首の概念は、2巻で「漢字かけら」「専門かけら」といういい方ですでに導入済みだが、ここでは、「部首」という言葉を導入して、次のステップを通して、最終的には、129の部首を学び、漢字全体の意味的な構造をつかむ手掛かりを子供に教えようというもの。
① 部首に目を付けて漢字を分類
② 部首同士で作るさらに大きなグループ
例によって、マルチリンガル漢字指導法研究会対象の「海外で育つ日本語学習者」を掛け合わせて、深堀すると…
部首に目を付けて漢字を分類
最初は、2巻で学んだ「合わせ漢字」を復習しながら、形だけに注目して、漢字を分類、部首への気づきへと誘っていくのは◎!
⇒「へんしんばこ」なんて、設定も子供心をくすぐる!
その後…本格的に部首を導入する。
部首同士で作るさらに大きなグループ
として、以下のように大きなグループに分けて、部首の数を増やししていく。
(1)人の姿からできた部首
(2)手からできた部首
(3)足からできた部首
(4)人の体からできた部首
(5)人の呼び名からできた部首
(6)動物からできた部首
(7)植物からできた部首
(8)自然からできた部首
(9)家と町からできた部首
(10)道具からできた部首
(11)神、言葉からできた部首
⇒繰り返しになるが、海外で短時間で学ぶことが余儀なくされる子供たちにとって、
バラバラと入れられるより、フレームワークがある程度あった方がイイ
ので、この大きなグループに沿って、部首数を増やすのは◎!
それに、絵がついているのがイイ!まさしく、一目瞭然!
最後に、何よりもいいのは、
トランプゲームや、カルタゲームなどにして遊びながらこの仕組みを理解
できるように工夫されていること。
別売りのカルタ
も使えるし、この本の中で、ゲームも紹介されているので、子供の好みや実力に応じて工夫できるので、オススメ!
あくまでも、
漢字を一つ一つ覚えるという目的の本ではない
ので、「急がば回れ」の精神で子供と一緒に楽しもうと思える人向けです!
漢字が楽しくなる本ワーク②~あわせ漢字あそび
漢字がたのしくなる本、ワーク②
お勧めの人
- 101の漢字をマスター、「3年生の壁」にチャレンジする意欲がある親、先生
- 多少遠回りに見えても、単調なドリルではなく、漢字を教えたい人。
- 子どもの対象は小2年生くらい。
- 3年生の壁にぶち当たっている子どもに寄り添って、ちょっとしたヒントをあげたい親、先生(すでに、3年生以上の勉強まで進んでいる子どもにこのワークを直接使うのは向かない)
お勧めのレベル
4 / 5 (1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
主な内容
一言でいうと、
合わせ漢字の原理を学ぶ巻
あわせ漢字の原理を正しく知るためには2つのことを学ぶ
①どのような組み立ての合わせ漢字か
②部首について
漢字は大きく2種類に分けられる
これ以上分けると意味をなくしてしまう単体字(象形文字・指示文字)
それを要素とした合わせ漢字(会意文字・形成文字など)
それぞれ常用漢字を見ると、14%、86%を占める。
1年生の時は、単体字が多いが、2年生からは合わせ漢字が多くなり、3年生からは、合わせ漢字が9割近くとなっていく
が、
今まで、子供たちは学校で、きちんとまとめて合わせ漢字の原理を学ぶ機会がなかたことが、漢字嫌いの原因の一つ
と分析する筆者。これを克服しようとも試みている巻だ。
例によって、マルチリンガル漢字指導法研究会の対象となる「海外で日本語を学ぶこども」と考えたとき、どうなるか。
①どのような組み立ての合わせ漢字か
合わせ漢字の組み立ての原理を二つの章に分けて教えてくれる。
(1)合わせ漢字パレード
- 手つなぎチーム(左右に合わさる)
- 肩車チーム(上下に合わさる)
- 潜り込みチーム(周りを取り囲む)
- 集まりチーム(三つ以上の要素が集まる)
(2)合わせ漢字変身術
- 縮む
- かける
- 変わる
- 化ける
⇒要は、ただ組み合わさるだけでなくて、ちょっと形が変わるよ!ということを教えるのだけど…
海外で育つ子の場合、
「字を美しく書く」ということの優先度は低くして構わない
と思っているので、最初の3つ「縮む」「かける」「変わる」は、元の字が認識できる程度に、簡単に説明すればいいと思う。
逆に、4つ目の「化ける」は大事。元の漢字から離れてしまうけれど、部首になり、これから先の長ーい漢字学習で何度でも出てくるので!
それぞれのいろんな組み合わせで漢字ができていることが分かった時点で踏み込むのが次!
②部首について
この本では、この漢字の部品を「かけら」と称し、
漢字かけら(元の漢字がわかるもの)
専門かけら(昔は漢字だったけれど、今はかけらにしか使われないもの)
の二つに分けて、教える。
お勧めのポイント
組み合わせ型を明確に整理していること。
マルチリンガル漢字指導法研究会の源、ミチムラ式の画期的なところは「漢字は書かずに唱えて覚えられる」ところだったのだけど、子供にこれを使っていて、子供がよく躓くのは、組み合わせの型なのだ。
この前も料理をしながら、小6息子の漢字学習を手伝っていて、「貨」を聞かれたので、「化学の化に貝」と答えたら、見事に、「手つなぎ型」にしていた…。唱える前に、「肩車型ね」と一言言ったら、間違いない!
漢字が部品の組み合わせであることに気づいたら、いくつかの組み合わせのパターンを言語化してあげると、フレームワークがはっきりして、入っていきやすい子も必ずいるはず。
子供にすっと入っていく言葉遣いであること。
それに、その言葉が子供心をくすぐる表現で◎!
「左右型」より、「手つなぎチーム」と言われた方が、子供には断然しっくりくる!
もう一つ、組み合わせる時の注意点。
スモールステップ
子どもにとって、元の形がわかりやすい「漢字かけら」から入り、わかりにくいけど頻繁にその後部首として出てくる「専門かけら」へと誘っていくのがいいし、この時点でかけらに命名するのも記憶に残りやすい。
研究会では、この名前が覚えにくいという話が出ていて、子供が好きな名前を命名したらどうかという話もあったけど、私は、さらに
上を目指す子は、正式な部首名を覚えておいた方が後々楽
だと思う。漢字辞典や日本人と話す共通語を持つという意味で。
かけらを整理して、そこから漢字数を増やす
一般的な日本人の学び方と逆なんだけど、これが海外育ちの子にはいいと思うのだ。つまり、日本でシャワーのように漢字を見る機会がある子供は、ランダムに入れて、その後、小3くらいで部首の名前を教えられて整理するというステップだけど、海外の子は、
フレームワーク(この場合は部首)をあげて、それに合った漢字を探し覚える
方が、入りやすいと思う。
全体として、「わけると見つかる知ってる漢字」をスローガンに「総合」⇔「分析」をゲーム感覚で繰り返しながら、合わせ漢字の原理を体得するこの巻。
1巻に比べて、「遊ぶ」より「学ぶ」に近づいてくるので、子供も教える方も覚悟が必要かな~。
この巻を学び終えると、新しく159字学べることになっているけど、中には説明が分かりにくい漢字もあるので、様子を見ながら取捨選択が必要。
漢字が楽しくなる本ワーク①~基本漢字あそび
さあ、漢字がたのしくなる本、ワークシリーズのレポート、始まり始まり~
お勧めの人
- 学年配当にこだわらず、応用が利く漢字の基礎を築きたい親、先生。
- 学校で漢字を習い始める前に、楽しく漢字導入をしたい親。
- 1年生で漢字を習い始めたけれど、面白くなさそうな子供を乗せたい親。
- 単調な学習になりやすい漢字学習にさし色を入れるアイデアがほしい先生。
お勧め度
5 / 5 (1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
主な内容
- 漢字を単なる記号ではなく、物事のイメージをかたどったものとして銘記する
- 長い漢字学習の土台となる101の基本漢字の形と音と意味としっかり獲得する
- 漢字の字形は10種類の画からできていることを学ぶ
- 書き順の基本を学ぶ
マルチリンガル漢字指導法研究会で対象とする「海外で日本語を学ぶ子」を念頭に、深堀してみると…
漢字を単なる記号ではなく、物事のイメージをかたどったものとして銘記すること
海外で学ぶ子どもにとっても、最初は漢字は楽しいもの。読むのも書くもの喜んでやる。特に、象形文字や指示文字は、古代文明を読み解くようなワクワク感がある。
この本は、古代文字を媒介にして絵と漢字を結びつけて漢字は絵からできたんだというところから始めるので、とてもいい!
「教わる子供はやがて今の漢字だけを見ても裏付けになるもののイメージを想い描いてとらえることができる」という著者の意図は達成すると思う。
長い漢字学習の土台となる101の基本漢字の形と音と意味としっかり獲得する
説明がつく面白い漢字は、学年配当にこだわらず、
遊びながら少しずつ、されど着実に持ち漢字数を増
やしてあげるのが、海外で育つ子には負担が少なくていいと思う。補習校では、時間の制限があって、形式的に1時間、象形文字の楽しさを説明した後、ドリルに流し込んじゃうけど…
といっても、海外で育つ子供には
ランダムに入れるより、ある程度のフレームワークがあった方が入りがいい
この本がいいのは、
「~つながり」といったまとまりで持ち漢字数を増やしていけること
「人や人の体を表す漢字」「道具を表す漢字」「様子を表す漢字」「点や線でここだよと指し示す漢字」といったまとまりで漢字数を増やしていける。
オマケに、
というのも販売されていて、
漢字の字源、快いリズム、絵
で、子供は遊びながら反復練習ができる!
101のうち、73個は部首となる文字、40個は形声文字の音記号になる
ので、これをしっかり押さえておけば、のちの漢字学習がかなりスムーズになるに違いない!
漢字の字形は10種類の画からできていることを学ぶ
漢字の字形を覚えるとき、筆順で捉えるよりも、画の名前で捉えさせたほうが、ずっと明確なイメージとして子供が漢字を捉えることになる」
という著者の考えに大賛成!
例えば、「女」という字。
こう書いてこう書いて、こう書く
より、
くの字を書いて、斜め線書いて、最後に横線書いて女
と言った方が、断然子供にとって定着がイイ。
ただ、
「どんな複雑な漢字でも画に分解してみればたった10種類の画になる」
というのは、くくりが大きすぎると思う。
これは、我らマルチリンガル漢字指導法研究会の源、ミチムラ式の方がいい。
ただ、これは海外で学ぶ子にとっては、細かすぎる、言葉自体が覚えにくいという難点が指摘されているので、ちょっと考えないと。
書き順の基本を学ぶ
海外で学ぶ子どもに、
「正しい書き順」の優先順位はかなり低くていい
と私は思っている。とはいえ、あんまりにも毎回でたらめだと、
定着が悪い
漢字辞典を引けなくなる
という理由で、最初の101字程度くらいは、書き順基本を教えて意識して入れた方がいいと思う。
「たてせんかいて、かくかぎかいて、中身をつめて、そこしめる~」
なんて、語呂のいい掛詞もかなりいい!↓
最後に、似ているけど違う漢字のページもいい。
これで一時間クイズ形式の授業したら、口やかましく言わなくても、自然に細かいところに目が行くようになるに違いない!
というわけで、ワーク①は、かなりお勧めです!