漢字がたのしくなる本ワーク③~部首あそび
漢字がたのしくなる本ワーク③
【お勧めの人】
- 小学校3年生くらいの子供
- 子どもと一緒に漢字を楽しもうと思える余裕がある親、先生。
- 学年配当にこだわらずに、漢字を楽しんでほしいと考える親、先生。
- 「急がば回れ」の精神で、子供の漢字学習に臨める親、先生。
- 教科書の部首の単元導入、あるいは、まとめのゲームのヒントが欲しい先生。
【お勧めのレベル】
5/ 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと、
漢字は一つ一つバラバラではなく、部首を通して意味のつながりが目に見える
もんなんだということを学ぶ巻。
漢字は意味と音を持った文字であり、その意味と音で仲間を作っている。前者が「部首」であり、後者が「音記号」。この巻では、その部首に焦点を当てている。漢字の大部分を占める「形声文字」の布石になっている。
部首の概念は、2巻で「漢字かけら」「専門かけら」といういい方ですでに導入済みだが、ここでは、「部首」という言葉を導入して、次のステップを通して、最終的には、129の部首を学び、漢字全体の意味的な構造をつかむ手掛かりを子供に教えようというもの。
① 部首に目を付けて漢字を分類
② 部首同士で作るさらに大きなグループ
例によって、マルチリンガル漢字指導法研究会対象の「海外で育つ日本語学習者」を掛け合わせて、深堀すると…
部首に目を付けて漢字を分類
最初は、2巻で学んだ「合わせ漢字」を復習しながら、形だけに注目して、漢字を分類、部首への気づきへと誘っていくのは◎!
⇒「へんしんばこ」なんて、設定も子供心をくすぐる!
その後…本格的に部首を導入する。
部首同士で作るさらに大きなグループ
として、以下のように大きなグループに分けて、部首の数を増やししていく。
(1)人の姿からできた部首
(2)手からできた部首
(3)足からできた部首
(4)人の体からできた部首
(5)人の呼び名からできた部首
(6)動物からできた部首
(7)植物からできた部首
(8)自然からできた部首
(9)家と町からできた部首
(10)道具からできた部首
(11)神、言葉からできた部首
⇒繰り返しになるが、海外で短時間で学ぶことが余儀なくされる子供たちにとって、
バラバラと入れられるより、フレームワークがある程度あった方がイイ
ので、この大きなグループに沿って、部首数を増やすのは◎!
それに、絵がついているのがイイ!まさしく、一目瞭然!
最後に、何よりもいいのは、
トランプゲームや、カルタゲームなどにして遊びながらこの仕組みを理解
できるように工夫されていること。
別売りのカルタ
も使えるし、この本の中で、ゲームも紹介されているので、子供の好みや実力に応じて工夫できるので、オススメ!
あくまでも、
漢字を一つ一つ覚えるという目的の本ではない
ので、「急がば回れ」の精神で子供と一緒に楽しもうと思える人向けです!
漢字が楽しくなる本ワーク②~あわせ漢字あそび
漢字がたのしくなる本、ワーク②
お勧めの人
- 101の漢字をマスター、「3年生の壁」にチャレンジする意欲がある親、先生
- 多少遠回りに見えても、単調なドリルではなく、漢字を教えたい人。
- 子どもの対象は小2年生くらい。
- 3年生の壁にぶち当たっている子どもに寄り添って、ちょっとしたヒントをあげたい親、先生(すでに、3年生以上の勉強まで進んでいる子どもにこのワークを直接使うのは向かない)
お勧めのレベル
4 / 5 (1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
主な内容
一言でいうと、
合わせ漢字の原理を学ぶ巻
あわせ漢字の原理を正しく知るためには2つのことを学ぶ
①どのような組み立ての合わせ漢字か
②部首について
漢字は大きく2種類に分けられる
これ以上分けると意味をなくしてしまう単体字(象形文字・指示文字)
それを要素とした合わせ漢字(会意文字・形成文字など)
それぞれ常用漢字を見ると、14%、86%を占める。
1年生の時は、単体字が多いが、2年生からは合わせ漢字が多くなり、3年生からは、合わせ漢字が9割近くとなっていく
が、
今まで、子供たちは学校で、きちんとまとめて合わせ漢字の原理を学ぶ機会がなかたことが、漢字嫌いの原因の一つ
と分析する筆者。これを克服しようとも試みている巻だ。
例によって、マルチリンガル漢字指導法研究会の対象となる「海外で日本語を学ぶこども」と考えたとき、どうなるか。
①どのような組み立ての合わせ漢字か
合わせ漢字の組み立ての原理を二つの章に分けて教えてくれる。
(1)合わせ漢字パレード
- 手つなぎチーム(左右に合わさる)
- 肩車チーム(上下に合わさる)
- 潜り込みチーム(周りを取り囲む)
- 集まりチーム(三つ以上の要素が集まる)
(2)合わせ漢字変身術
- 縮む
- かける
- 変わる
- 化ける
⇒要は、ただ組み合わさるだけでなくて、ちょっと形が変わるよ!ということを教えるのだけど…
海外で育つ子の場合、
「字を美しく書く」ということの優先度は低くして構わない
と思っているので、最初の3つ「縮む」「かける」「変わる」は、元の字が認識できる程度に、簡単に説明すればいいと思う。
逆に、4つ目の「化ける」は大事。元の漢字から離れてしまうけれど、部首になり、これから先の長ーい漢字学習で何度でも出てくるので!
それぞれのいろんな組み合わせで漢字ができていることが分かった時点で踏み込むのが次!
②部首について
この本では、この漢字の部品を「かけら」と称し、
漢字かけら(元の漢字がわかるもの)
専門かけら(昔は漢字だったけれど、今はかけらにしか使われないもの)
の二つに分けて、教える。
お勧めのポイント
組み合わせ型を明確に整理していること。
マルチリンガル漢字指導法研究会の源、ミチムラ式の画期的なところは「漢字は書かずに唱えて覚えられる」ところだったのだけど、子供にこれを使っていて、子供がよく躓くのは、組み合わせの型なのだ。
この前も料理をしながら、小6息子の漢字学習を手伝っていて、「貨」を聞かれたので、「化学の化に貝」と答えたら、見事に、「手つなぎ型」にしていた…。唱える前に、「肩車型ね」と一言言ったら、間違いない!
漢字が部品の組み合わせであることに気づいたら、いくつかの組み合わせのパターンを言語化してあげると、フレームワークがはっきりして、入っていきやすい子も必ずいるはず。
子供にすっと入っていく言葉遣いであること。
それに、その言葉が子供心をくすぐる表現で◎!
「左右型」より、「手つなぎチーム」と言われた方が、子供には断然しっくりくる!
もう一つ、組み合わせる時の注意点。
スモールステップ
子どもにとって、元の形がわかりやすい「漢字かけら」から入り、わかりにくいけど頻繁にその後部首として出てくる「専門かけら」へと誘っていくのがいいし、この時点でかけらに命名するのも記憶に残りやすい。
研究会では、この名前が覚えにくいという話が出ていて、子供が好きな名前を命名したらどうかという話もあったけど、私は、さらに
上を目指す子は、正式な部首名を覚えておいた方が後々楽
だと思う。漢字辞典や日本人と話す共通語を持つという意味で。
かけらを整理して、そこから漢字数を増やす
一般的な日本人の学び方と逆なんだけど、これが海外育ちの子にはいいと思うのだ。つまり、日本でシャワーのように漢字を見る機会がある子供は、ランダムに入れて、その後、小3くらいで部首の名前を教えられて整理するというステップだけど、海外の子は、
フレームワーク(この場合は部首)をあげて、それに合った漢字を探し覚える
方が、入りやすいと思う。
全体として、「わけると見つかる知ってる漢字」をスローガンに「総合」⇔「分析」をゲーム感覚で繰り返しながら、合わせ漢字の原理を体得するこの巻。
1巻に比べて、「遊ぶ」より「学ぶ」に近づいてくるので、子供も教える方も覚悟が必要かな~。
この巻を学び終えると、新しく159字学べることになっているけど、中には説明が分かりにくい漢字もあるので、様子を見ながら取捨選択が必要。
漢字が楽しくなる本ワーク①~基本漢字あそび
さあ、漢字がたのしくなる本、ワークシリーズのレポート、始まり始まり~
お勧めの人
- 学年配当にこだわらず、応用が利く漢字の基礎を築きたい親、先生。
- 学校で漢字を習い始める前に、楽しく漢字導入をしたい親。
- 1年生で漢字を習い始めたけれど、面白くなさそうな子供を乗せたい親。
- 単調な学習になりやすい漢字学習にさし色を入れるアイデアがほしい先生。
お勧め度
5 / 5 (1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
主な内容
- 漢字を単なる記号ではなく、物事のイメージをかたどったものとして銘記する
- 長い漢字学習の土台となる101の基本漢字の形と音と意味としっかり獲得する
- 漢字の字形は10種類の画からできていることを学ぶ
- 書き順の基本を学ぶ
マルチリンガル漢字指導法研究会で対象とする「海外で日本語を学ぶ子」を念頭に、深堀してみると…
漢字を単なる記号ではなく、物事のイメージをかたどったものとして銘記すること
海外で学ぶ子どもにとっても、最初は漢字は楽しいもの。読むのも書くもの喜んでやる。特に、象形文字や指示文字は、古代文明を読み解くようなワクワク感がある。
この本は、古代文字を媒介にして絵と漢字を結びつけて漢字は絵からできたんだというところから始めるので、とてもいい!
「教わる子供はやがて今の漢字だけを見ても裏付けになるもののイメージを想い描いてとらえることができる」という著者の意図は達成すると思う。
長い漢字学習の土台となる101の基本漢字の形と音と意味としっかり獲得する
説明がつく面白い漢字は、学年配当にこだわらず、
遊びながら少しずつ、されど着実に持ち漢字数を増
やしてあげるのが、海外で育つ子には負担が少なくていいと思う。補習校では、時間の制限があって、形式的に1時間、象形文字の楽しさを説明した後、ドリルに流し込んじゃうけど…
といっても、海外で育つ子供には
ランダムに入れるより、ある程度のフレームワークがあった方が入りがいい
この本がいいのは、
「~つながり」といったまとまりで持ち漢字数を増やしていけること
「人や人の体を表す漢字」「道具を表す漢字」「様子を表す漢字」「点や線でここだよと指し示す漢字」といったまとまりで漢字数を増やしていける。
オマケに、
というのも販売されていて、
漢字の字源、快いリズム、絵
で、子供は遊びながら反復練習ができる!
101のうち、73個は部首となる文字、40個は形声文字の音記号になる
ので、これをしっかり押さえておけば、のちの漢字学習がかなりスムーズになるに違いない!
漢字の字形は10種類の画からできていることを学ぶ
漢字の字形を覚えるとき、筆順で捉えるよりも、画の名前で捉えさせたほうが、ずっと明確なイメージとして子供が漢字を捉えることになる」
という著者の考えに大賛成!
例えば、「女」という字。
こう書いてこう書いて、こう書く
より、
くの字を書いて、斜め線書いて、最後に横線書いて女
と言った方が、断然子供にとって定着がイイ。
ただ、
「どんな複雑な漢字でも画に分解してみればたった10種類の画になる」
というのは、くくりが大きすぎると思う。
これは、我らマルチリンガル漢字指導法研究会の源、ミチムラ式の方がいい。
ただ、これは海外で学ぶ子にとっては、細かすぎる、言葉自体が覚えにくいという難点が指摘されているので、ちょっと考えないと。
書き順の基本を学ぶ
海外で学ぶ子どもに、
「正しい書き順」の優先順位はかなり低くていい
と私は思っている。とはいえ、あんまりにも毎回でたらめだと、
定着が悪い
漢字辞典を引けなくなる
という理由で、最初の101字程度くらいは、書き順基本を教えて意識して入れた方がいいと思う。
「たてせんかいて、かくかぎかいて、中身をつめて、そこしめる~」
なんて、語呂のいい掛詞もかなりいい!↓
最後に、似ているけど違う漢字のページもいい。
これで一時間クイズ形式の授業したら、口やかましく言わなくても、自然に細かいところに目が行くようになるに違いない!
というわけで、ワーク①は、かなりお勧めです!
漢字導入にいい本みっけ!~漢字がたのしくなる本
これぞ、私が探していた本!
マルチリンガル漢字指導法研究会のメンバーの話から芋づる式に発見した本。
この半年、メンバーと一緒にいろいろ考えてきて、海外で育つ子の漢字学習のキーワードは次のようなものとわかってきた。①~⑥までのシリーズなのだが、下記の要望にかなり応えててくれる内容!
#楽しい漢字学習#効率性#書きより読み優先#学年の配当にはこだわらないがある程度の系統性が必要#漢字一つ一つより語彙がキー#漢語(音読み)が課題#漢字(熟語)の仕組みを理解する必要がある
【お勧めな人】
- 海外で教科書に縛られずに日本語を教えている人(先生や親)
- 海外補修校の先生
- 特別支援クラスの先生
【お勧めの使い方】
付属の手引書を読んで、著者の意図をつかんだ後で、子供と一緒に楽しみながら漢字を発見すること。ワークと書いてあるけど、
子供が1人で勝手にできるような作りではない
大人にとっても、漢字を新発見できる良いチャンスかもしれない。
同じ出版社から出されている付属のカルタ等
ワークにある感じ遊びのヒントを得て一緒にゲームを作る
など、遊びを織り交ぜること。
これで漢字を教えようとは思わず、
漢字で遊びながら漢字を俯瞰する力、語彙の力をつけるもの
と考えるとうまく活用できると思う。
因みに、同名のテキストシリーズも①~⑥まであるのだけれども、本屋で読み立ち読みした感じでは、すぐ買いたいと思わず、今のところ買っていない。
順に、ワークの①~⑥をレポートするので、乞うご期待!
日仏、授業中に求められる発言の違い②~タイミング
前回に続き、意外と難しい発言のタイミングの違い。
簡単にスポーツに例えて言うと、
日本は、テニスやバレーボールのようなネット型
フランスは、バスケットやサッカーのようなコート型
なのだ。
つまり、日本では質問者が質問した後に、少し間があって、回答者が応えて、という感じで、テニスのように言葉が交互に混ざりあうことなく、行き来する。
一方、フランスは、攻守が入り交じり、相手が話しているうちから先読みして、自分の主張を重ねて言ったり、授業のように(先生ー生徒)のような多少の力関係がある場合には、言葉を重ねないまでも言い終わらないうちに、挙手して言いたいことがあることを表明する。
多分、これは
文法構造の違い
も関係するのだろう。
動詞や肯定否定の表現が最後に来る日本語は、最後まで聞かないとわからない。
英語やフランス語は、主語の後にすぐに動詞が来るので、話の流れは頭の回転がいい人にはすぐ見えるのだ。
後は、やっぱり、
文化の違い
自己主張をするのが普通、しないと損する国なので、我さきと自分の主張をするのだ。
日本は、やはり全体の空気を読んで発言しないと思うと、全体の場で声を出すのは勇気が要ることなんだと思う。
前に、ゲストティーチャーとして、補習校で「視覚障害者の学び方」というのをしたことがあるのだけど、
全体の場で臆せず色々質問してくるのは、海外育ちの子
で、日本から来たばかりの子は、授業が終わってから、そっと質問に来たりして…いい質問なのに!みんなにシェアしてほしかったと残念に思ったものだ。
私自身、フランスに最初住み始めたとき、結構、この違いに悩まされた。
どのタイミングで人の会話に入っていいかわからず、自分に振ってくれるのを待っていると、そういう「気を遣う」という文化がないフランスでは、永遠に自分の番は巡ってこない(笑)。フラストレーションがたまった。
フランス語のハンディも何とか乗り越えて、このやり取りに慣れて、ストレスなくフランス人の輪に入れるようになったころ、日本に帰国。
今度は日本で苦い思いをした。
無意識に上司の言葉の途中で、口を挟みぎょっとされたり、子供の学校のPTAの会で順番に話すことに耐え切れず席を立ってしまったり…。
あとから、フランス在住経験のある先輩ママに
「あのね、PTAの会合はすごろくなの。絶対に順番を飛ばしてはダメ」
と諭され、なるほど~と反省したのを覚えている。
私は一応、日本育ちなので、やった後に、しまった!と気づくことはできる(笑)でも、うちの子供たちはどうなのかな~?
多分、息子は気づかないだろうなぁ。
娘は、気づく時が時々あって、かえって苦しいかなぁ。
日仏、授業中に求められる「発言」①~質の違い
息子が成績をもらってきた。
で、先生からのコメントに並ぶ言葉で多いのは、
interventions pertinentes(的確な介入)
bonnes participations(授業によく参加している)
直訳すると変な感じがするが、要は授業中によく発言しているらしく、それを高く評価されているのだ。
「的確な介入」というのが、フランスの学校らしい。習ったことを自分のこれまでの知識や経験と照らし合わせて、
「では、これは当てはまるのか?」
「そういえば、それと関連して、こういう話を聞いたことがある。」
「ここはわかったけど、これはわからない。」
といった発言。息子は私にもよくこの手の質問をするので、学校でも臆せずやっているのだと思う。
前に書いた通り、フランスでは「正答」を答えるよりこうした授業内容に
ひだを付けるような発言が高く評価される
のだと改めて思った。
で、こういう息子、日本ではどう評価されるか?
日本語補習校の先生に言われた言葉を思い出した。
「変わった質問をよくしてくれます。この前は、授業の後、私のところに来て、『先生はなんで、当たり前にわかっていることをわざわざみんなに聞くの?』っていうのです。『なんでって、それが先生の仕事だから』って答えたんですけど。」
息子には
一問一答形式、先生が持っている答えへの誘導型な発問が奇異
に映ったのだと思う。
その後、このクラスの授業参観をしたのだけど、欧米式のスタイルに慣れてしまうと、確かに
茶番
に見えてしまったのだ。何というか、
すべてが先生のシナリオ通りに進む授業
できる子もできない子も一斉に同じことを勉強
できる子は先生が言ってほしいタイミングで「正解」を答える
ように綿密に練りこまれた授業が。
断っておくが、この先生の授業は本当によく考えられていて、日本の学校の基準で考えればかなり高いレベル。海外の補習校でこういう授業をできる先生がいることに驚いたくらいである。なので、「茶番」と感じた自分側の変化に少なからずショックを受けたのだった。
今、この本を読みながら、これからの時代って考えると、やはり、日本式は変わらないとなぁと思った。
たまたまこの人の本を前に呼んだので、アマゾンがお勧めしてくれたので読み始めた本。リーダ育成の啓蒙書かなと軽い気持ちで読んだら、全然違った。
リーダーシップとは、一人ひとりが発揮するもの。
皆を動かすというのではなく自ら動き出しそしたらみんなが動く。
というのがメッセージだ。
著者の日本はポテンシャルが高いけど、今変わらないと!という危機感、切迫感を私も感じる。両方の文化を知っている我が子たちが、その起爆剤になってほしいなぁ。
海外で育つ子供に漢字指導するときの肝
高校1年の時の国語の授業で印象深かったことがある。
定年間近な男の先生だったが、「この漢字読めるやついるか?」と言って、シーンとした中、私が答えたのだ。
どんな字だったか忘れたんだけど旧字で、
「青」という字が入っていたので、「セイ?」
と答えた。「なんでわかった?」と問われたので、「青っていう字が入っていたから」と答えた。
そしたら、先生がえらく感激して、「やっぱり進学校のやつは違うな、俺が前にいたいわゆる底辺校って言われる高校の奴らではこういう応用が効かないんだよなぁ」と、悔しそうにぼやいたのである。
なぜか、このことがずっと頭に残っていた。
私の記憶する限り、
漢字では同じ部分があれば同じを読みをする場合が多い
ということを体系的に教わった覚えは無い。おそらく、
多くの漢字を学んでいるうちに、自分でその法則を見つけた
んだと思う。
なぜか、このことがずっと頭に残っていた。
法則性を見つけ、省エネして考えることができれば、知識の吸収は速い。
で、おそらく進学校に進むような子供は、そういう事を自然にできる。
頭の中を整理するのに生まれつきたけている
のだろうし、
整理するための材料を山ほどインプットしてる
というのもあるだろう。きっとこの両方が重なって好循環を生むのだとも思う。
逆に言うと、学習につまずいている子というのは、このどちらかが欠けているか、両方がうまく機能していないんだと思う。
海外で育つ子の場合は、能力的に高くても、この
インプットの量がどうしても圧倒的に少なくなる
ので、法則性を導き出すところまで材料がたまらないのは普通だと思う。なので、
意識して読み聞かせ、読書などで語彙をインプットする事も大事
だし、逆に、
この法則性を最初から教えてあげちゃった方が効率が良いこともある
と思う。
そう考えて、私がファシリテーター役を務めるマルチリンガル漢字指導法研究会のこれからの方向性を考えると…
海外で漢字に触れる機会が少ない子供たちにランダムに教えるより、
ある程度漢字の法則性というか、原理、仕組みを教えた方がいい
というのが、私の中の結論になった。
もちろん、こどもは必ずしも論理的に考えるわけではないので、あれこれ考えず、ランダムに、コンテクストにしっかり結びついていた形で漢字を入れてあげることも並行しながら…。