「書く」指導は難しい。
書ける子(大抵は、読書をよくする)は、ちょっと構成のアドバイスをするだけで、すらすらかけるが、大概の子は、なかなか良くならないし、何よりも本人たちが大嫌いで指導を手こずる。
自分が生徒の立場になって、英語でエッセイを書こうと思うと、やっぱり気が重いし、どうしても後回しになる。一生懸命やっていても、なかなか上達した感じがしないし、やたら時間がかかる。
二人の先生に教えてもらって、自分なりに試行錯誤してみて、こうやってくれたらもう少しよかったのに、自分が教えるときはこうしようと思ったことをまとめてみたい。
コツは三つ。
全体像を描く ⇒ 細部の指導
選択肢を少なく ⇒ 徐々に選択肢を増やしていく
帰納法的アプローチ ⇔ 演繹法的アプローチ
具体的には以下の手順でやるといいと思う。
- 型(初め、中、終わりなどの大構成と「中」の部分の論理展開の仕方等)を理解
- 模範エッセイを大量に読む
- 模範エッセイを学んだ型に分けたり、使ってみたい表現にハイライト
- 悪い(足りない)見本を読み、どこを修正すべきかを考える
- テーマを選び、論点をブレーンストーミングで十分に耕してから書く
- 書いたら添削してもらい、訂正箇所を確認後、清書する
- 細かいテクニックを一つずつ覚えて、選択肢を増やす(接続詞、例の挙げ方等)
自分がやってみてつくづく思ったのが、指導の時に陥りやすいこと。
・ゴールのイメージがわく前に、いきなり書かせる。
・まだ地図(全体の構成)も描けぬうちに書き始める子供を放置。
・エッセイを書くのに十分なアイデアもないのに、書かせる。
・十分な語彙を持ち合わせていないのに、書くように言う。
・細かいテクニックを先に教え、混乱させる。
簡単にまとめると、
- スモールステップを踏むこと
- 型を教えるなどの「演繹的アプローチ」と実際に書かれたもの、書いたものを「帰納法的アプローチ」で俯瞰する双方向の働きかけ
が必要なのだと思う。
自分自身のことを振り返ると、「書く指導」を受けたことが一切ない。綴り方教育の影響か、「子どもの自由な発想、表現を妨げない」という発想の元、日本は長年子どもの作文に教師が指導を入れることを避けてきたきらいがある。中、高と進んだ後も、小論文を書く前に指導を受けた覚えも、書いた後に「書き方」に関する添削を受けた覚えもない。あったのは、「内容に対するコメント」のみである。
私が「書き方」について目覚めたのは、フランス語を学び始めて、エッセイを書き始めた時である。そこでの採点は、内容よりまず、型の沿っているかが重要だった。そして、型に従って書くうちに、自分の考えをまとめたり、深めたりするのに役立つことに気づいたのだ。
書くこと = 考えを整理し、深めること
子どもたちにもそれを伝えていきたい。