世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

アメリカの公立学校を行く②~PTAの仕事の一つ「資金集め」

毎年のように春になると、

  今年は公立学校の夏休みが早く始まる

という噂がまことしやかに囁かれれる。

理由は、教育予算が不足して先生の給料が払えないから。

すでにアメリカの夏休みは、2か月以上あるのに、それ以上休みになったら、子供の学力は?親の負担は?とドキドキしていしまう。

 

というわけで、シカゴの公立学校にとって、公的資金はあまりあてにならないようだ。

それよりかは、それぞれの学校が自分たちの理想とする設備、サービスを実現するために資金集めをする。

  資金集めの主役は親

出すのも、オーガナイズするのも。

 

では、どうやって資金を集めるのか?

日本人なら、ベルマークくらいしか思いつかない。

 こちらにもありました、ベルマークならぬシリアルのバーコード。

f:id:edu-kachan:20190519114309j:plain

箱の下にあるバーコードを学校に持っていくみたい



f:id:edu-kachan:20190519114810j:plain

学校の入り口に置かれた収集箱

しかーーーーーーーーーーし、こんなに地味?なはずがない。

どの学校のウェブサイトにも「寄付」の項目があり、その資金集めの仕方が趣向を凝らしている。

 

  • 単純にお金を振り込んでもらうもの
  • 地域のお店にモノやサービスを寄付してもらい、それをオークションにかけるもの
  • 学校が購入したいものとその値段を掲示し、自分が協力したいものに、したいだけの金額を寄付するもの
  • 資金集めを目的としたパーティを催すもの

 

さらにすごいなと思うのは、寄付を誘発するために、

  ドナーたちを格付けすること

 

f:id:edu-kachan:20190519201432p:plain

寄付金額により格付けされているドナー

クラスごとに集めた金額を競わせ、1番多かったクラスはピザパーティーなどの商品をゲットできる仕組み

 

などもあり、さすがキャピタリズムの国と思わせる。

その集める額の総額は、何百、何千万という単位である。

 

そこで集めた資金は、学校裁量で自由に使ってよく、

  • 学校菜園
  • 外国語インストラクター
  • IT機器
  • 図書費
  • 学校全体で使う教育アプリ費

などなど、その使い道も学校によって様々。

 

これに驚く私自身の中に、

  公立学校はどこも同じであるべき

  学校でお金扱うことへのタブー意識

という日本的考えから考え方が染みついていることに気づく。

 

裕福な地域は、親が寄付できるお金の額も時間もあるわけで、学校間の格差が広がってしまうだろうなとは思う。

では、公的資金のみで賄われれている日本の学校は公平かというと、塾に個人で行ける家庭とそうでない家庭があることを考えると、そうではない。

だったら、少なくとも、

  地域、学校という単位に各家庭がお金や時間を投資

して、

  「自分の子」から「自分たちの子」という視点で学校へ働き掛けていく

のは、いいことなのかもしれない。

それは、国全体の子供、ひいては、世界全体の子供の教育がよくなるに越したことはないけど、自分が影響を与えられる範囲には限りがあるわけで、それが、家庭から地域に広がるだけでもすごいこと。