前回、学校選択制の影の部分を見て、光の部分はドラフトで眠っていた…。
ギンギラに光りまくる、アメリカの公立学校の光が当たった部分を紹介したい。
「私は純粋に楽しいからやってる。」
公立学校に子供を通わせ、自分は弁護士として忙しく仕事しながらも、学校に貢献できることと考えて、図書館の本のカバーかけなどを家に持ち帰ってやっているというお母さんに、ボランティア活動動機を聞いたときの答え。
前に、あまりに楽しそうにボランティアを積極的にやるアメリカ人の親たちに圧倒されて、うがった見方をした事を少し反省しつつ、それでもみんながみんな楽しいからやってるのか、彼女に聞いてみた。
「あー、それは、人それぞれだと思うけど、地域の学校の人気が上がると、持ち家の人は家の値段が上がるからっていう人もいると思う。」
とのこと。
20年位前は、子供が学齢期に達すると、
学習環境を考えて郊外に引っ越すか
私立の学校に通わせるか
マグネットスクールと呼ばれる学外からも通学を認める学校にトライするか
という選択をダウンタウン近くに住む比較的高学歴高収入の家庭は迫られていたようだが、最近は
学区の公立学校を良くしていこう
という動きに変わっているようだ。これにより、引っ越しの負担や職場から遠くなることのデメリットが避けられる。それに、
自分の子供の教育環境を直接的によくすること
自分の資産価値を上げること
などのモチベーションが加われば、俄然やる気が出るのは、アメリカ文化の中では必然だ。おまけに、学校は
お金も、能力も、労力も、物の寄付も大歓迎
となれば、恵まれた学区は雪だるま式に良くなっていくことになる。
学校ツアーで配布される学校紹介のパンフレットも、学校によってこんなにも違う。
企業顔負けの広告パンフレットがカラー&厚紙で配られる学校もあれば、
学校らしい気もするのだが、子供が書いた学校紹介のポスターがぴらりと貼ってあるだけの学校もある。
前者はおそらく、こういうものを作るのが本職の保護者ボランティアが作ったんだと思う。さすがに教員がそんなことしてる時間はないだろうから。
光が当たっている学校は本当にユニークでダイナミック。私立の学校に入れるよりずっといいなと思った。でも、光と影は表裏一体。
そして、シカゴでは、光も影も、すべての学校がレート化され、それはオンラインで誰にでも閲覧可能な状態だ。
学校は市場原理にさらされ、レートが悪い学校は統廃合の危機にさらされる。
こういう情報にアクセスできる家庭はいい方にどんどん流れ、そこで学校をよくするためにどんどん働きかける。同様な家庭が相乗効果で働きかけるから学校はどんどん良くなる。逆は、言わずもがな…
そして、昼でも足を踏み入れては危険と言われる場所が生まれていく。
光の部分だけを見て、学校選択制を採用するのは危険だなぁと改めて思った。