世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

長男、はじめての日本の中学校体験入学!

この夏、長男も初めて、日本の中学校に一か月、体験入学をさせてもらった。

最初は、制服の窮屈さを嫌がったが、すぐ慣れて、あまり文句も言わず通った。

もともと、学校であったことを家で話すタイプではないけど、年頃になり益々話さないので、日本の中学校をフランス、アメリカと転々とした息子がどう感じるのか、あまり聞き出せず、残念。だけど、印象的だったことをまとめておく。

 

 

息子の気づき

  「やたらと先生に会うね、日本の中学校」

 

というのが、一週間目くらいの息子の感想。特に担任の先生とホームルームで、朝夕、会うことが驚いたらしい。

フランスの学校も担任がいて、一応、週に一度くらいはホームルームの時間があるみたいだし、問題があったときは担任が架け橋になってくれることにはなっている。だけど、基本的には教科担任以上のかかわりはほとんどない。

 

それはね、日本の学校のいいところだとママは思っているよ。先生の役割は、生徒に知識を教えるだけでなく、もっと、その子全体を見守っていて、困っていることないかな、悩んでいることないかなって見てくれているんだよ。そういうのって、毎日見ていないと気づかないから。

 

と説明したら、「へぇー」と驚いていた。

 

先生から見た息子

担任の先生からはどんな風に映ったんだろう、うちの息子、と思って聞いてみたら、

 

  信じられない位、普通に馴染んでいます!

 

との事。係活動なども、他の子より積極的にやってる位ということで、一安心。

考えてみれば、中1で知らない人ばかりの学校に放り込まれるって結構きついはず。

でも、そういう場所でも、適応してるってすごいことかもしれない。

 

私がうれしかったこと

  社会のテストをきちんとやったこと

 

特別扱いしないで結構です。といったので?普通に他の子と同じようにテストもうけていたらしい。本人が悲惨な点の地理のテストを持ってきた!

悲惨な点だけど、私はすごく嬉しかった。

 

  わからないなりにも、自分ができるところを解いていること

 

海外の補習校では、漢字テストなど、もうやる気なく突っ伏してしまう子もいる中、必ずしも本人が行きたくて行っているわけではない場所で、自分ができることをちゃんとやる、ってすごいし、大事なことだと思う。だから、めちゃくちゃ、褒めた。

 

  ママの褒めるところって、よくわからない。

 

と言いながら、ちょっと嬉しそうな息子。

 

昨日は、最終日、「やっと夏休み!」と万々歳の息子に、

 

先生も大変だったことを忘れないで!

こうやって不定期に体験入学の子を受け入れることで先生の仕事は増えたのだから。

嫌な顔一つせず、歓迎してくれたのは本当にありがたいこと。

きちんと、お礼を言いに行ってね。 

 

とくぎを刺して送り出した。

本人はまだまだ言語化できないだろうけど、学校という場でしか学べないことを学ばせてもらっているはず。

体験入学を受け入れてくださっている学校、先生に感謝です。

 

 

小一の娘、辞書との出合い!

日本の国語教育で辞書に出合うのは、小学校3年生。なので、まだ早いかなぁと思っていたのだけれども、

 

マルチリンガル漢字指導法研究会

learnjapanonline.com/multilingual-kanji/

 

で出会った、輝美先生のご指導のもと、娘は国語辞典に出合うことになった。

 

因みに、輝美先生は、

 

  深谷圭助先生の辞書引き http://www.jishobiki.jp/

 

から学ばれたようです。

 

そのスモールステップの指導と娘の変化があまりに素晴らしいので、たくさんの人とシェアできたらと思う。

 

 

スモールステップで国語辞典に親しむことから


国語教育で3年生に辞書を使うのは、辞書の本来の目的

 

  わからない言葉を引く

 

ために、五十音に沿って言葉を調べていくのに、小3程度の発達段階が必要

だからである。

でも、輝美先生は、その前にスモールステップを用意する。まずは、

  •  辞書を無造作にパタンと開き、そこで知っている言葉を1つ見つける
  • そこにその言葉を書いた付箋をはる
  • 言葉の下に書いてある解説を読んでも読まなくてもいい。 
  •  

学習の過程を可視化する

  

  付箋を貼る

 

というのが、子供には目に見えて、自分の頑張りが見えるので、やる気をそそる。

 

  • 通し番号を付ける方法、
  • 5枚ずつ先に付箋を用意して、裏表紙のところにつけておく

 

というのも、継続した学びを支える仕組みとして素晴らしい!


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目標を設定する

授業の中で一緒にやれる数はたかが知れているので、それを家庭学習で展開してもらわないといけない。

で、輝美先生のアドバイスは、

 

  1000枚達成したら1000円分のプレゼント

 

これ、見事に「馬ににんじんをぶら下げる」感じで効いている!

娘は、何をもらうかの方にばかり、気が行きがちですが(笑)

 

少しずつレベルアップ

そして、1-2か月のウォーミングアップの後、

 

  目的の言葉を探す活動

 

へ。ここでも、わからない言葉を調べるのではなく、

 

  しりとりで出てきた言葉をみんなで探す

 

というスモールステップぶり!

これがすこぶる楽しそうな娘。

 

子どものつぶやきを見逃さない

そうこうしているうちに、

 

  でも辞書ってわからない言葉ひかなきゃ、意味がないんじゃ?

 

と娘が言い出した。

なので、これはチャンス!とばかりに飛びつき、

 

  いいことに気づいたね!

  じゃあ、今度、わからない言葉が出てきたときに調べようね!

 

とした。

今朝、久しぶりに手書きの手紙を書いていたら、一瞬「追伸」の「シン」の漢字に不安がよぎった私(汗)

大げさに、「この字、どうだったかな?」おもむろに、娘の横で辞書で調べ始めたら、

 

  私が引いてあげる!

 

と言って調べてくれた。

 

  ママも手伝えたし、

  解説読んで新しい言葉覚えたし

 

と喜んで朝、学校へ出かけた。

 

いい先生に出合えて有難いけど、最後の一押しは

 

  やっぱりそばにいる親

 

だよなぁと思う。

いっつも、朝はバタバタして余裕がないけど、子供の伸びる芽をうまく支えて、寄り添ってあげるくらいのゆとりはもたないと強く思ったのでした。

インターナショナルスクールの良し悪し

6年間の海外生活から日本に戻ってきて、インターナショナルスクールに入った長女16歳。もうすぐ1年になる。

本人の言葉から考えるインターナショナルスクールの良し悪しについて書きたい。

 インターナショナルスクールのいいところ

 

  同様な子に囲まれ、精神的な安定を得られること

 

本人曰く

授業中にわからない漢字が出てくるでしょ、でも、全くわからないのではなくて、こんな感じというのはわかるの。そのわかる部分だけ書いて、隣の人に回すと、その人も完璧な漢字はわからないのだけど、ある部分はわかるの。そうやってクラス全体で書き足すと一つの漢字が出来上がる!そういう感覚は初めてで嬉しい。

そういった言語能力面のちぐはぐさといった悩みに共感できるのは、海外補習校で日本人の子供たちに囲まれ、いつも日本語にコンプレックスを持っていた娘にとっては、とても嬉しいらしい。

インターナショナルスクールの悪いところ

それは、ほとんどの子が2つの言語を理解するので、

 

  ちゃんぽんで話すこと

 

フランス語で喋っていても、とっさに言葉が見つからないと、その部分だけ日本語に置き換えてしまう。そして、それが楽なのでどんどんそれに慣れてしまうこと。

 

今まで、私と話すときには、必ず日本語だったのに、フランス語になったり、言葉をちゃんぽんにしたりし始めている。

 

本人曰く、

自分もちゃんぽんに慣れてきてしまっていると感じる。前はそういうのがすごく嫌だったのに。周りがみんなそうだから。東京に来て、自分の日本語がすごく伸びたなって思って嬉しいのだけど、もしかしたら、仲間内だけで通じる日本語力なのかも。

そういえば、日本帰国が決まって一番喜んだのは長女だった。

アメリカでフレンチスクールに通い、英語も学ばないといけない、学びたいという状況下で、自分の日本語力がどんどん落ちていくことに焦っていた娘。

 

マルチリンガルにとって、この

 

  言語間のバランスをとる

 

ということは難題だけど、「やっぱ、ちゃんぽんしないように気をつけよう!」という娘に成長も感じた。

ずっとインターナショナルスクールだけで育っていたら、こうは思わないのかもしれない。多様な場所を経験して、その時その時自分の言葉と向き合う娘を頼もしく思う。

 

私自身もフランス語とちゃんと向き合おうと思う今日このごろ。

 

ブックレビュー「私も『移動する子供』だった」

最近、幸せだなぁと感じる事は。

16歳の娘と日本語の本をシェアできること。

最近シェアして良かった本がこれ。

 

  

 

 

お勧めの人

  • 移動する子供
  • 移動する子供の親

両方にお勧めの本です。

 

主な内容

早稲田大学日本語教育科の教授が、移動する子供が異なったが言語の間でもつ葛藤やそれを乗り越えた先を探るべく、「移動する子供だった」大人ににインタビューするというものだ。合計10人にインタビューをしている。

  • どのように二つの言葉を習得したのか
  • 思春期に二つの言語の間をどのような葛藤にあったのか
  • 彼らを囲む社会がどのように彼らの言葉に対する認識に影響したのか

等が、川上教授の優しい語り掛けに彼らかが応えるうちに浮かび上がり、温かい気持ちになる本だった。

 

移動する子供の親である私の感想

読み終えたときの感想は何といっても、

 

  日本語読み書きレベルで教えてきて良かったな

 

ということに尽きる。
今回紹介された人の言語力はそれぞれだけれども、誰1人、自分の引き継いだ言葉が学ばないことを後悔こそすれ、学んで良かったと思っているからだ。

 

  いつか、アイデンティティーに悩んだ時に言葉があれば救われる

 

と漠然とでも明確に持っていた私の判断は間違えていなかったと思った。

 

胸を撫で下ろしたのは、

 

  高校生ぐらいから自分の言葉を客観視するらしいこと。

 

自分のルーツがある言葉の習得にそんな積極的でなかった子供たちも、このぐらいの歳になると学びたいと言う欲求は内側から沸き起こってくるようなのだ。

 

「高校生になったら、学習のことを口出ししない」

と娘に約束して、実行しているものの、本当にそれで良いのかなぁと内心不安だった。だけど、改めて、ここまで来たら、伸ばすもとりあえず横に置くも、本人が決めていくことなんだって思った。

 

インタビューに登場したFIFIさんのように、

 

  やりたいことより、やれることを選ぶ

  やりたいことを選んでも求められていることは違う

 

など、社会と対話しながら、逞しく生きる道、生きやすい道を選んで歩んでいってほしいと思う。

 

移動する子供真っ只中の娘の感想

  • 私とおんなじ人は誰もいなかった
  • 私は自分の言葉を封印しようと思ったこと1度もない

というのが初発のことば。

なので、それは、

 

  とても恵まれていることなんだ

 

と話した。フランス語も日本語も、それぞれの国で話せるとなると高く評価されるしかっこいいと思われる。それが語学学習のモチベーションにどれだけなるやら!

 

その後、部分部分で彼女が共感した部分を話してくれた。

  • 外国人顔をうまく利用して、町でしつこく話しかけられた時は英語で返す。
  • 日本で育っている人より、日本に対する愛国心があると思う。
  • 両方とも自分の言葉だけど、一つにはいつも少し自信のなさが付きまとうこと。
  • 二つ国の人間だけど、自分は自分と言いきれる人がいたのはすごい。

  

日本語を読み書きレベルまで学び、こうして先人の生きざまを言葉で引き継いでくれることを本当に嬉しいなと思う。

 

教師の指導が必ずしもプラスにならない話

「25メートル泳いでみせる!」

末っ子6歳がそう言って、土曜日スイミングに連れて行ってくれとせがんだ。

スイミングを習っているのだけれども、ビート板に腰浮き輪を1つつけて息継ぎの練習をしているところなので、とても25メートル泳げるとは思えない。

スイミングの先生があまり好きではなく、

「25m、泳げるまではおぼれたときに死んでしまうので、嫌でも頑張って」

という私の言葉を受けてのことだ。

 

結果、近くに親がいないと溺れてると思われて、救助の人が飛び込む位の泳ぎだけれども、泳ぎ切った。

まだ息継ぎができないので、苦しくなるとくるっとまわって背面うきをしてしばし休みながらそれでもクロールらしき動きで、25メートル泳ぎ切ったのである。

 

「自分を誇りに思う」

と言う娘に、私は心底嬉しくなった。

 

私がスイミングを習わせている理由は、

  速く泳ぐため

  きれいに及ぶため

ではない。いざと言う時に溺れずに岸まで取り付く力を身につけたいから

 なので、もう目標は達成したことになる。

でも、ここまでくると、もう本人が辞めると言わなくなった(笑)

 

この一件で、

  どうして私はできるはずないと思い込んでしまったかなぁ

と反省した。

おそらく、

 

  本人に泳ぐ機会を与えてなかったこと

  泳いでる途中に先生が支援を入れることが原因だと思う。

 

もちろん先生はそれが仕事なので仕方ないと思うのだけど、

 

  指導のつもりが生き生きと伸びてる芽を横からちょんぎっていること

 

あるよなぁと自分を戒める機会となった。

漢字、表意文字の威力!

ひらがな、カタカナに続いて、漢字導入中の末っ子(1年生)

  マルチリンガル漢字指導法研究会

での研究を通して、漢字のの難しさは

 

 音、形、意味をいっぺんに習得しなくてはいけないこと

 特に形の些細なところにこだわりすぎること

 

にあることがわかったので、末子には、

 

  三つの要素を意識的に分けて、スモールステップで!

  細かいことは最初言わない

 

を心がけている。

 

まずは、 

  形の大体を認識して読みが1つ言えるようにする

 

ところからスタート。

 

私が驚いたのは、

 

  ひらがなやカタカナより

  はるかに早く形を認識して、読めるようになること!

 

なぜでしょう?

意味がない表音文字であるひらがなやカタカナと違い、漢字には意味があるので、

 

  意味と結びつけて絵のように漢字を記憶

 

していくようなのだ。

 

漢字の方が難しい、なので一画一画、書き順に沿って丁寧に教える、というのは大人の思い込みなんだなとつくづく。

これだったら、書きはボチボチ始めつつも、もうどんどん読める漢字を増やしていったほうがいいと思って、日常生活のメモなどもなるべく漢字で書くようにした。

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「漢字があるから読めないよ!」最初は言ってたけど、なんとか読んであげるうちに、抵抗なく、

 

  読める漢字ひらがな文脈から漢字を読もうとする

 

ようになってきた。

子育て3人目にして、いい発見をしたもんだ!

 

 

 

末っ子、日本の公立学校に体験入学!

フレンチスクールが7月より夏休みに突入。

そこで、末っ子、日本の公立学校1年生に入れさせていただき、毎日通うことに。

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初めて日本の小学校に通う娘が

どんなことにびっくりするのか、戸惑うのか

興味津々な私。

まだまだ、言語化する前に馴染んでしまう年なので、毎日負担がない程度に、

なんとか聞き出そうとする私。

 

彼女が驚くことは、日本の学校の特殊なところ!

日本の文化のみで育った人はもう空気のようで気づけないこと。

そこに、日本の学校のいいところも改善すべきところも隠れていると思うのだ。

 

 

給食が素晴らしい

給食がとびきりおいしい!けど…

  デザートがない

と言う娘。これはもう、フランスとの文化の違い。フランス人にとって、ディナーやランチにデザートが付くのが基本。フレンチスクールの給食にはついてくる。日本人にとってはなくても別にいいもんだけど、これがないとフランス人は落ち着かないらしい。


教室にパソコンがない!

「教室に大きなテレビがあるんだけど、パソコンがないんだよ!だから、黒板でビデオを見ることはできないし、しかも、先生は黒板に書いた後、いちいち全部消さなくちゃいけないんだよ!パソコンならスイッチ一個なのに!」

 

これはもう、世代の差を感じますが、日本の学校のIT化の遅れも感じる。

昔、「黒板係」というのがあって結構人気があったんだけどなぁなどとも思いながら。

 

算数の授業の進みはびっくりするぐらい遅い

「3 +4とかすごく簡単な問題を1時間で1~2こやるんだよ!みんな答えわかってるのに、一個一個マグネット並べて一緒に数えたりして、どうしてそんなにゆっくりやるんだろう。」と娘。

「あなたはわかってるかもしれないけど、ゆっくりやってわかる子もいるんだから」

「じゃぁその子だけゆっくりやればいいじゃん。」

 

フレンチスクールでは、基本、算数は差が大きいので、ほとんど全体授業はしない(できない)とフランス人の先生に聞いたことがある。

その先生は、日本語補習校を一緒に見学したときに全体授業してる様子を見て、「少しは全体授業で取り組むことも必要かも」と感想を述べていたのだけど、日本の学校は全体授業にこだわりすぎている気もするので、個人差を受け入れて、個別学習もっと取り入れた方が良いのかもしれない。バランスが難しいけど。

 

 

みんなを待たなくてはいけない

これは、結構苦痛らしい。

「自分の前に食べ物が全て用意されても、お当番さんが着替えて席に着くまでは食べちゃいけないし、食べ終わった後もそこでじっと待ってなくてはいけない。みんな食べる速さの違うのに、どうしてみんな一緒にしなくちゃいけないの?早く終われたら他の事しててもいいんじゃないの?」と言う娘。

 

こうやって、よく言えば、周囲に気を配る習慣がこうやって身についているし、

悪く言えば、みんなが残業しているから帰れないみたいな日本人独特の同調の習慣が育まれてしまっているのかもしれない。

 

今回も娘の体験入学を通して、いろいろと学んだ私。

それに、

  なかなかやろうとしない縄跳びを友達とやると頑張っていること、

  はやりのアニメ情報を仕入れて世界を広げていること、

  わかったふりをしてもわかっていない日本語をこっそり聞いてくること、

 

などなど、体験入学でさらに成長をしていく娘を見ながら、

改めて受け入れ校に感謝の気持ちでいっぱいなのだった。