世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

ブックレビュー「私も『移動する子供』だった」

最近、幸せだなぁと感じる事は。

16歳の娘と日本語の本をシェアできること。

最近シェアして良かった本がこれ。

 

  

 

 

お勧めの人

  • 移動する子供
  • 移動する子供の親

両方にお勧めの本です。

 

主な内容

早稲田大学日本語教育科の教授が、移動する子供が異なったが言語の間でもつ葛藤やそれを乗り越えた先を探るべく、「移動する子供だった」大人ににインタビューするというものだ。合計10人にインタビューをしている。

  • どのように二つの言葉を習得したのか
  • 思春期に二つの言語の間をどのような葛藤にあったのか
  • 彼らを囲む社会がどのように彼らの言葉に対する認識に影響したのか

等が、川上教授の優しい語り掛けに彼らかが応えるうちに浮かび上がり、温かい気持ちになる本だった。

 

移動する子供の親である私の感想

読み終えたときの感想は何といっても、

 

  日本語読み書きレベルで教えてきて良かったな

 

ということに尽きる。
今回紹介された人の言語力はそれぞれだけれども、誰1人、自分の引き継いだ言葉が学ばないことを後悔こそすれ、学んで良かったと思っているからだ。

 

  いつか、アイデンティティーに悩んだ時に言葉があれば救われる

 

と漠然とでも明確に持っていた私の判断は間違えていなかったと思った。

 

胸を撫で下ろしたのは、

 

  高校生ぐらいから自分の言葉を客観視するらしいこと。

 

自分のルーツがある言葉の習得にそんな積極的でなかった子供たちも、このぐらいの歳になると学びたいと言う欲求は内側から沸き起こってくるようなのだ。

 

「高校生になったら、学習のことを口出ししない」

と娘に約束して、実行しているものの、本当にそれで良いのかなぁと内心不安だった。だけど、改めて、ここまで来たら、伸ばすもとりあえず横に置くも、本人が決めていくことなんだって思った。

 

インタビューに登場したFIFIさんのように、

 

  やりたいことより、やれることを選ぶ

  やりたいことを選んでも求められていることは違う

 

など、社会と対話しながら、逞しく生きる道、生きやすい道を選んで歩んでいってほしいと思う。

 

移動する子供真っ只中の娘の感想

  • 私とおんなじ人は誰もいなかった
  • 私は自分の言葉を封印しようと思ったこと1度もない

というのが初発のことば。

なので、それは、

 

  とても恵まれていることなんだ

 

と話した。フランス語も日本語も、それぞれの国で話せるとなると高く評価されるしかっこいいと思われる。それが語学学習のモチベーションにどれだけなるやら!

 

その後、部分部分で彼女が共感した部分を話してくれた。

  • 外国人顔をうまく利用して、町でしつこく話しかけられた時は英語で返す。
  • 日本で育っている人より、日本に対する愛国心があると思う。
  • 両方とも自分の言葉だけど、一つにはいつも少し自信のなさが付きまとうこと。
  • 二つ国の人間だけど、自分は自分と言いきれる人がいたのはすごい。

  

日本語を読み書きレベルまで学び、こうして先人の生きざまを言葉で引き継いでくれることを本当に嬉しいなと思う。