世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

ファンドレイジング(fundrasing:カンパ活動) 日本となんか違う

小学校5年生の息子は学校行事の一つとして、ケベックにキャンプに出掛けた。そのための資金稼ぎとして、先生主催のタレントショーが開かれた。土曜日の午後に催され、学年全体で60名程いる生徒のうち、15名程がショーに任意参加、数名の先生も参加して、それぞれのタレント…ギター、ピアノ、ダンス、寸劇、歌、手品、体操…などを披露した。会場に入る時に寄付を求められたり、休憩時間に保護者が持ち寄った飲み物やおやつを販売したりして、資金を稼ぐというものだ。 

タレントショーでは、普段目立たない子、勉強が苦手な子も大いに活躍。ショーに出た先生たちのちょっぴり緊張した姿に観客は大いに拍手を送った。日本の運動会や表現会といった行事に似ているなと思いつつ、何かがとても違う。何か、考えてみた。

 

 自由参加であること。

パフォーマーも観客も参加が自由であること。日本では、こういう場合、パフォーマーはもちろん、観客側にも「見に行く」ことへの圧力がある。パフォーマーには、個人が単独に認められることより、みんなで何かを作り上げることに価値が置かれる。「運動会にはあまり興味にないから」「仕事が立て込んでいるから」などという理由でこれらの行事に「行かない」と選択を保護者がするのには、かなり勇気がいるのではないか。

 行事ありきではないこと。

日本のように年間行事に組み入れられているわけではなく、その時、有志(教師あるいは生徒)がいれば、開催されるという仕組み。なので、大いに盛り上がる時もあれば、尻すぼみ気味の時もある。「前例に従う」必要は全くなく、その時、手を挙げた人が中心になって自由に創る。

 

「強制しない」「創っては壊し、また創る」精神が、私は好きだ。

結局、一連のファンドレイジングを通して、日本円にして60万近く稼いだというのだから、驚きだ。実は、このお金がなくても保護者から旅行代金として徴収してしまえば、学校も保護者も労力がかなり節約できる。でも、目的はこれらの活動を通して「関係性が深まる」「一つの目的に向かって協力して創り上げる」ことにあるのだろう。