世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

ダブルスクールに挑む③~初日、私のびっくり

日本の公立学校に早速ダブルスクールに入れてもらった息子に付き添った一日。

私のびっくりは… 

 先生方の準備の良さ

 チームプレーの良さ

 新入生は校長室で始業式が始まる前まで待機だったのだけど...

その間、それぞれの担任のクラスの先生が自分の手の空いたタイミングだろう、ちょこちょこ顔を出し、自分の受け持つ子にあいさつに来る。

必要な書類はすでに用意してあって、さっと手渡される。

式はすでにプログラムがあって、出番の変わり目でまごつくことなし。

式の中で児童代表が「新学期の目標」を宣言する場面があったのだけど、これも事前にバッチリ指導済みであることがうかがえる。

教室に行けば、担任の先生が空で息子の名前を漢字で黒板に書いて紹介。

学年主任の先生が挨拶にきて、学年集会でも近いうちに紹介すると。

 

多分日本人にとっては、だから?って感じで、これができていないと、苦情が来る。

でもでも、フランスの学校はぜんっぜん!こんな風にはいかない。長女が中学校に入学した日のことを思い出した。

 

学校の門が開く10分前、緊張した様子で早めに来ている親子の横を先生が通勤。

(え?今?子供の登校時間と同じ時間に先生も出勤?)

 

保護者向けの説明会では、管理職が3人ほど前に出て話したのだけど、明らかにきちんと事前に何を話すかを決めていない様子で、時々「ほかに何か言っておくべきことがあったっけ?」とやりとり。

(めっちゃ、時間がかかるんですけど)

 

欠席の場合の連絡先など、覚えておかないといけないたくさんのことをランダムに話されるが、補足する紙一枚ない

(すみません、そちらにとっては当たり前のことでもこちらは全部初めてでそんな説明だと全然わからないのですが…)

 

わからないときには、次のメールアドレスに…今から読み上げます!

(え?聞き取りのテストですか?)

 

おまけに、「相手の話を聞き終わらないうちにバシバシ質問文化」なので、途中で保護者からどんどん手が上がり、みんなが自分の関心事をランダムに質問。

「そういう細かいことは、保護者向けの学校サイトに書いてあるから、そこを見て。あ、でも、サイトの調子が悪くって、1週間くらいはアクセスできないかも。」

(えええーーー?2か月もバカンスがあって、それ?それくらいは新学年に間に合わせて整備してよー。)

 

絶句したのは、最も大事な生徒管理のずさんさ。

「うちの子、親の迎えがなければ学校を出られないにサインしたのに、昨日、先生が欠席で放校になった後、40分近く歩いて自宅まで帰ってきたのですけど…」という保護者の質問への回答。 

フランスの中学では、新学年の初めに子供の放課後の学校退出方法を選択できる。

  いかなる時も既定の時間までは学校を出さない。

  保護者の同意があれば、規定時間前でも学校を出してもいい。

信用できる子供で、地域が安全であれば、後者を選んでおくと、先生の欠席などで休講になったり時間割の変更があった日などは、子供は自由に帰宅できて便利。子供たちは連絡帳みたいのを毎日持っていて、出口のところにいる生徒指導の先生に親の同意を示すページを見せて、一年間自由に帰宅することができるのだ。

冒頭の保護者の質問は、

  親は勝手に学校出すことに同意していないのに、出しちゃったという話。

学校にいる間は、管理する責任がある学校にとっては、これは大変な失態。何もなかったからよかったものの…あとから聞いたら、その子は自殺未遂の過去があって、家で一人にしたくないという親御さんの思いがあったという。

でも、それに対する回答が…

「あーーー、まだ学校が始まったばかりでまだ生徒指導の先生がきちんと把握していなかっただけ。バカンスが明けたばかりだし、きちんと仕組みが機能するのには時間がかかると思ってください。」だった。

 

まあ、2か月の休みの間、先生たち学校に集まるのは、始まる前の週に一度だけというのが普通なので、そうなっちゃう。

これは、フランスの公立学校での体験話だけど、私立でもあんまり変わらない気がする。この話、ママ友に話したら、「日本人ね~」と超うけた。そして、口々に言うのが、

  先生たちは安月給だから仕方ない。

多分、先生たちもそう思っている(笑)バカンスを丸々とって何が悪い!と。そういうところから帰ってくると、日本の学校って本当に素晴らしい!!と思うのだ。