世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

「生徒役」に夢中! どんな先生が良い先生?

年末、北海道にスキーに行ってきた。

私のスキーの実力は、「中級」。

大人になって始めたこともあり、いつまでたっても自信がないし、ある程度滑れるようになったあとは、上達した気がしない。

スキー大好き人間の夫に付き合って、1年間に1回、行く程度だし、無理せず中級をのんびり降りてくる程度なので、上達するはずもない。

 

今年は、子供たちも大きくなったことだし、一念発起し、スキースクールに入ることにした。それがとっても楽しくて!、生徒役に夢中になった話。

 

  

3つのタイプの先生

なんと、三日間別々の先生に教えてもらった。その3人がそれぞれ特徴的で、スキーというよりかは、教え方を学ぶことになった。

 

①とにかく楽しいことが最優先の先生

 

「高いお金払って、スキーに来てるわけですよね?」

「楽しくなかったら、もったいなくないですか?」

「なるべく楽に滑ってください、筋トレしたかったら、わざわざ寒い中こんなところに来るよりジムに行けばいいわけですから。」

「いろんなスクールでは、どちらかの足に体重を載せるとか片足ずつあげてみるとか言うけど、そんなに楽しくないので、全部忘れてください。」

 

という感じで、ジョークばっかり飛ばして、とにかく楽しく滑れことばかり言う。

 

してくれたアドバイスは、「斜面に対して80度に体がなるように意識して、ターンするときは前方に120度になるように意識してみてください」

 

これしか言われないので、それだけに集中して滑っていたら…

 

   ほんとに楽しかった!!

 

でも、私も含めて最後にはみんな、「何か改善するところはないですか?」と質問することに。

 

  「僕が何も言わないと言う事は、できてるってことなんです。いや皆さんほんとにうまいですよ。このクラスはレベル4なんですけど、内容は、レベル5になってます。」

 

とこれまた褒め上手。

 

なんでも、先生自身が厳しい先生に子供の頃に当たって、本当にスキーを嫌になってやらなかった時期が1年ちょっとあるとのこと。

あっという間に、時間が過ぎて、終わったときには、もっとやりたいと言う気持ちでいっぱいだった。

 

②ごちゃごちゃ言わずに、自信のある練習方法を淡々とやる先生

 

2日目の先生は、ボスニアから来たというポーカーフェイスの先生。メンバーが、軽口を叩いても、ほとんど応じずというか、真面目に応じて、とにかく練習。そのためにスキーのレッスンとってんでしょ?という感じ。

 

「この練習方法は、ほんとに効く」と言って、横滑りするときに足を上げろとか、足を✖にしろとか、いろいろな練習方法を次から次へとやった。

 

効果はあるのかもしれないけれど、ずっと、先生の指示であれしろ、これしろと言われてるだけで、自分自身がそれを消化して滑る時間がないので、あまり効果を実感できなかった。何よりも、面白くないので、何度も時計を見てしまった。そして、1日のコースだったけども、半日で辞めてしまった。

 

③理屈付きで説明してくれる先生

 

2日目の先生と同じように、自分の経験で編み出したきた、練習方法を色々と試したんだけども、ひとつひとつに丁寧にどうしてこの練習が大事か、体重の具体的な移動のさせ方、足の裏のどこに体重を乗せるかのイメージなどを丁寧に教えてくれた。

 

理屈で理解したいタイプの私には、すごく納得がいく指導法だったんだけど、いかんせん説明が長くて実際にやろうって言うときには体が冷えてしまってうまく動けなかったのが残念。

 

後は、情報すぎて、うまく1つに集中できないように感じた。というか、考えすぎて、体がうまく動かないというか。

 

でも、午前の最後の時にビデオ撮ってくれ、自分の滑りをメタ認知することができたのはとても良かった。

 

午後は、先生に言われたことを意識して、自分で滑ったら、すごく上手くなったように感じた。

 

学習者の好みで分かれる「良い先生」

 

  褒め上手でとにかく楽しいことを追求する先生

  ストイックに効率的に教える先生

  理屈を教えたり、メタ認知させる先生

 

どの先生も、それぞれの良さがあったなと思う。私に上達を感じさせてくれたのは、理屈を教えたりメタ認知させてくれる先生だったけど、それが3日目の先生だったからかもしれない。そもそも、1日目で楽しいと思いをしなかったら、2日目は行かなかっただろうし…どの先生の教え方もとても参考になる。

学習者のタイプによって、好みが分かれるだろうな。

 

学習者の習得段階で別れる「良い先生」

 

学習者のレベルによっても「良い」先生の定義は変わるのかなあとも思った。今回の私のレベルは、中級なので、ある程度の基本の習得は済んでいるわけなので、

 

  クリアしてないポイントを意識

  ある程度の滑り込み

 

が必要なんだと思う。

①の先生は、楽しく滑り込みをやってるうちに、わかってないポイントは自然に治るだろうと言う考え方だっただろうし、② ③の先生はクリアしてないポイント意識させるところに集中していた気がする。

 

これが初級だったらどうだろう。やっぱり、ポイントは本当に1つに絞って、とにかく楽しむことなんだろうなぁ。

 

上級だったら、森の中やこぶなど、自分で挑戦してみたいコースを選んで、そこに必要なテクニックを磨いていくし、その時々に足りないテクニックを教えてもらったり、回数をこなして体得していくしかないんだろうと思う。

 

これは、今、私がやっている漢字指導法でも同じこと。ホップ・ステップ・ジャンプで分けてるけど、それぞれにそんなイメージを持ってカリキュラムを作るとうまくいくんじゃないかと思った。

 

あれれ、仕事の事は一切忘れて、四日間スキーに専念したつもりだけど、やっぱり仕事の事考えてる!

 

いつも、半分いやいやスキーに付き合っている私が、毎日、積極的にスクールレッスンを取るので、夫はついに、スキーに夢中になってくれたかと喜んでいたけど、実は「生徒役」に夢中だったのであ〜る。