世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

漢字の指導、スモールステップ踏む

漢字は

 形、音、意味

の3つの要素を持つ。
当然この3つを相互に絡めあって覚えなければ漢字の習得する意味も無いし、そもそもなかなか入っていかないであろう。

例えば、「打」という字、

  てへん+ちょうという形
  「うつ」「ダ」という音
  「打撲」「打率」など「うつ」という意味はもちろん、「打診」「打開」など動詞の語調を整える働き

など、三つの要素のどれかだけを教えてもあまり意味はない。
でも、マルチリンガル漢字指導研究会のみんなといろいろやってるうちに、

  この3つを同時にやろうとしすぎたかな
と気づいた。入りやすいものからどんどん入れて

  8割方知ってるという状態を作って

いって、残りの2割はぼちぼち埋めていくほうがいいのかなと。
なぜかというと、その方が

  子供も学ぶ意欲が持ちやすいから。

そこで提案したいのが、SS漢字指導法と段階ごとに

SS漢字指導

  1つ目のSは、スモールステップ
  もう一つSのは、スパイラル

例えば、これまで補習校や日本の学校では、新出漢字の指導を、

  形(書き順まで丁寧に)を教え、
  音(読み方、音君まで)を教え、
  意味(熟語をいくつも示し、漢字本来の持つ意味に気づかせるなど)を教え、
  それを使えるようになるために短文作り

というように一気にやってきた。

一定のレベルの日本語力を持ち合わせる後にとっては、このようなやり方がうまくいくのだと思うのだけれども、
単調になりやすいし、日本語に十分に触れてない海外育ちの子には負担が大きい。

なので、この三つの要素を子供の状況に応じて、スモールステップにしたらいいと思うのだ。
具体的な話は小1娘への漢字指導の取り組みについて紹介する次の記事を参照してほしい。

「漢字で遊ぼ!」シリーズ①~ 既に書いているので「漢字学習」のカテゴリーを参照
「漢字を書こう!」シリーズ~ これから書く予定


たとえ3要素全部を一気に扱ったとしても、それぞれに

  軽重をつけ、今の段階ではこれだけ抑えれば良い

いうのは教師の方が明確に持っていくといいと思う。

そして、教える側は一気にインプットして自己満足するのではなく、

  
  スパイラルに何度も扱うことで
  インプットしたものが少しずつアウトプットできるように

考えていけばいいのかなと。

各段階での指導キーポイント

マルチリンガル漢字指導研究会では、子供の漢字習得を大きく3つの段階「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」と考えている。
ざっくりいうと、小学校「低学年」「中学年」「高学年~」だけど、学年配当漢字で区切っているわけではない。
それぞれに指導の重点ポイントがある。

後は、漢字の習得レベルによっても重点を置くべきところが違うと思う。
私は、形→音→意の順番で漢字の習得が難しいと思っている。なので、

  小学校の低学年の漢字レベルで
  中学年のレベルで
  高学年のレベルで

それぞれ重点的に攻略していく必要があると。

つまり高学年の漢字で漢字の形を覚えられないなんと言ってることがないように、一画一画の書き順を教えているなどということがないように。
また、高学年になったら、新出漢字の読み方や意味の推測くらいができるようになってるように。

海外で日本語を教えていると、あれもこれもやらなくちゃいけない!時間がない!悪循環で

  どんどん詰め込むだけに陥りがち

だけど、こんなふうに長いスパンで俯瞰すれば、その時その時必ず抑えなくちゃいけないポイントが見えてくる。
そのポイントを押さえつつ、臨機応変に子供たちの興味関心に寄り添いながら授業をして行けたらと思う。