世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

海外で日本語を学ぶ子供たち ✖ ミチムラ式漢字学習③~ 漢字学習のツボ 

シリーズで書いている「唱えて覚える漢字指導法」を読んで考えたこと。

私にとって一番よかったのは、

どうして漢字学習が難しくなるのかを、学年段階を追って把握できたこと。

普段の生活で漢語をほとんど見聞きしない子供たちにとって、

  3年での音読みの導入時、

  4-5年とどんどん増えてくる同じ音読みの漢字の数々、

  4-5年生から増えてく具体物を見せられない抽象概念の言葉

と、信じられないスピードで難しさが重ねられるわけだ。

が、教える方は、それをあまり意識せず、「習うより慣れろ」と言わんばかりに、書きの練習を繰り返させてしまう。漢字に囲まれて育っている子供たちには、それでもうまくいくケースも多かったのだろうが、海外で暮らす子供には、指導する側が、この難しさを理解して、幼稚園段階から戦略的に取り組む必要があるだろう。

 そこで、粗々っと、学年ごとに指導者が気を付けるべきことを整理してみた。ただし、これは、プロフィシエンシーバイリンガルを目指す場合の目安であり、パーシャルバイリンガルの場合は、とりあえず、小学校3年生の漢字マスターを目標に頑張り、あとは子供の様子を見ながら、目標設定を微調整するといいと思う。

プロフィシエンシーバイリンガルを目指すなら、漢字学習に語彙を増やすための伏線をはる必要があるので、それは「語彙を増やすための支援」として、学年を追って右列につけてみた。

 

 学年

       漢字学習指導上の留意点

 語彙を増やすための支援

 幼

・字には書き順があることをしっかり押さえる。

・絵本の読み聞かせ

 小1

 

 

・漢字指導の前に片仮名指導をしっかり行う。

 

・基本漢字、初出部品は、書く練習も含めて徹底   

 する。漢字は部品の組み合わせであること、書き順 

 の規則性を体得させる。

 

・音訓読みを同時に学ぶことの大切さとその方法を 

 教える。

・絵本の読み聞かせ

・子どもの手が届く場所に

 本を置く。

・低学年向けの本を自分で 

 読む習慣をつける。

 

・中学年向けの本の読書に 

 移行できるように差し

 向ける。

 小2

 

 

 小3

 

 

 小4

・量が多くなる上、子どもの自我も芽生えてきて、親

 子共々めげそうになる時なので、漢字学習をゲー

 ム感覚で楽しめる、達成感が持てるような仕掛け

 づくり。

・日本のニュースを聞いた 

 り、子供向け週刊新聞、

 雑誌などを身近に置い

 たりして、漢語に慣れ

 る。

 小5

 から

・漢字学習は語彙学習の場面でもあると気持ちを転

 換させる。わからない言葉の説明を日本語でした

 後、第一言語の言葉に翻訳してあげる。