漢字は難しいに決まっている
と、日本語を学び始める人はみんな言う。多分、私がアラビア語を見て、どこで切れているのかわからないと思う気持ち、フランス語を習い始めた時、動詞の活用に途方に暮れた気持ちになるのだろう。
ただ、海外で暮らす子供たちにとって、漢字が難しくなる難しい理由、時期はいくつかある。それをもう少し掘り下げてみて、どうして、この子たちにミチムラ式が利くと思ったのか、整理してみたい。
まず、子どもたちが漢字学習に難しさを感じ始める時期について
小学校3年生頃から始まり、5年生頃にピークを迎える
道村先生もテストのデータを用いて、日本の小学生の傾向として、このことを指摘しているが、バイリンガルの子供も全く同じである。「5年生でピーク」と書いたのはそこで海外で暮らす多くの子供は、漢字、もしくは、日本語学習自体をあきらめてしまう。
では、小学3年生あたりから漢字習得を難しくしている要因は何か?大きく分けて5つあると思う。
- 単純に割り当て漢字数が増える。
- 小学3年生より、音訓を一度に習い始める。
- 形が複雑になってくる。
- 音読みに混乱する。同じ音読みの漢字が複数出てくる。
- 学年が上がるにつれて、漢字以前の熟語の意味を知らない。
- 割り当て漢字数は、1年=80字、2年160字、3年=200字、4年=200字、5年=185字、6年=181字と推移する。
- が、問題は、その数より、小学校3年生から、音訓を同時に教え始めるようになること。実質的には、200字の5倍くらい学んでいることになる。
- 配当漢字表を見ると一目瞭然だが、1、2年生と学年が進むにつれて、形が複雑になってくる。(表を顔から離して見てみると、黒くごしゃごしゃっと見える漢字が増えてくる!)
- そうして、一番打撃を受けるのが、音読み!まず、同じ音読みの漢字が複数出てくる。道村先生の調査によると、カサタハ行の読みで8割を占めるそう。(一番多いのは「コウ」の読みで何と63個!)さらにそれに追い打ちをかけるのが、音読みしかない漢字が増えてくるのだ。訓読みがないと、意味と結び付けて覚えることができなくなってしまう。道村先生のデータによると、「音読みしかない漢字」「音読みだけ習う漢字」は学年を追うごとに増えていき、4年生には、習う漢字の約半数、それ以降は50%を超えてしまう。例えば、「態」という字は、音読み「タイ」しかない。でも、「タイ」と読む漢字は、隊、対、体、待、代、台、太…とたくさんあるので、ただ、この読みだけを覚えていても適切な場面で使えないことになる。
- 語彙が少ない。熟語の意味を知らないので、意味を覚えて、それから書き方を覚えることになるが…その数が多すぎて、子どもは完全飽和状態になる。
ではでは、ミチムラ式がこれらの困難さにどう応えてくれるか?
①②③対策 ⇒ 漢字を基本漢字と部品の組み合わせと考えて、唱えて覚える。その代り、基本漢字と初出の部品については、書く練習も入れて、徹底して習得できるようにする。書き順については、唱えながら習得できるようになっているが、海外で暮らす子供にとっては、基本の流れ(上から下、左から右)を習得させればいいと思う。
④対策 ⇒ 漢字のタイトルを覚える。ミチムラ式では、それぞれの漢字に親密度が高い熟語を調査してタイトルを付けてくれている。(ゲン実のゲン、あらわ_れる というように)なので、これを徹底的に暗記すれば、音訓セットで、音読みも熟語とセットで覚えられることになる。
⑤については、日常的に日本のニュースを見聞きしない海外生活の子供たちの永遠の課題なので、次回少しそれも含めて、「バイリンガルの子供にとっての漢字学習のツボ」で考えてみたい。