世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

海外在住児の漢字学習のコツ①~漢語タイム

昨日は、learnjapanさん主催の道村先生の漢字セミナー、8回中第5回だった。

 

前回の宿題、

  盲学校での漢字学習の様子を収録したNHKの番組をみて感想をかく

ことを受けて、先生は、視覚障害児と海外在住児の共通点として次のようなことをおっしゃった。

  会話はできるが会話どまり。

  語彙を増やし、知的な言葉の習得、本を読む、文章を書けるようになるためには、

  漢字の学習が必要。

私は昨日これを「小学校中学年以上の日本語力」と表現をしたが、概ね考えは同じ。

 

両者で大きく違うところは

 視覚障害児:語彙は豊富に持っているが、漢字の世界を知らない。

 外国在住児:漢字の世界を知っているが、語彙をほとんど持っていない

だと思う。

あとは、

 視覚障害児:パソコンを使うには、漢字の知識が必要というモチベーションがある

 外国在住児:漢字を、そもそも日本語を学ぶモチベーションアップから始まる

というのも、違うかな。

 

共通なところは、

 

  漢字を見る機会が少ない(ない)から、字形を覚えにくい。

 

私は盲学校勤務経験があって、その時に道村先生の方法は、海外在住児にも使える!って、閃いた。ミチムラ式

  漢字を部品に分けて、唱えて覚える

という方式は、見事に両者に共通の字形が覚えられない問題を解決してくれる。(うちの息子で証明済み!)

 

だけど、両者の違いはアプローチの仕方を変える要素になるので押さえておいた方がいい。

視覚障害を持つ子供たちは、漢字に出会うことで、バーバリズム(言葉だけが先行してしまう現象)を抜け出て言葉の本当の意味を理解し、知識の幅、語彙数を広げていったのだと思う。

  日本語にとって、語彙と漢字は車の両輪のようなもの。

海外在住の子は、語彙がないから漢字学習に興味が持てない、また、漢字を覚えないから語彙も増えないという、悪循環に陥っている。これを断ち切るには、語彙と漢字を単体でとらえるのではなく、漢字学習は語彙を増やすいい機会と捉えなおす、語彙を覚えたら漢字でどう書くかを考える習慣をつけることが必要なんだと思う。

 

昨日、道村先生が語彙を増やす方法として3つ提案をしてくれたのだけど、その一つがとても参考になったので、日常生活に組み込みたい。

 

  日常生活に「漢語タイム!」を設けること!

 

例えば、普段の会話を漢語に直してみる。

 「さあ、起きる時間よ。学校に遅れるわよ」

 ⇒「さあ、起床の時間よ。学校に遅刻するわよ」

 「パパ、帰ってくるの、いつも遅いわね。」

 ⇒「パパ、帰宅が毎晩遅いわね」

 「目の見えない人が、感じを習うのが、どんなに難しいか、わかりました」

 ⇒「視覚障碍者が漢字を習得するのがどんなに困難か、理解しました」

これは、忙しい毎日にも、5分あれば楽しく取り入れられそう!!

 

こんな風に、いろんなコツを集めて、海外在住の保護者や先生と情報を共有していけたらいいな!ということで、これもシリーズで書き溜めることにした。