世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

2019-01-01から1年間の記事一覧

誕生!マルチリンガル漢字指導法研究会

一か月近く、ご無沙汰してしまった…。 3年間のシカゴ生活に終止符を打ち、フランスに寄り道して、東京での新生活開始。 引っ越しには慣れっことはいえ、「だんご三兄弟」を連れての大移動。ふぅ…。 なぜか、私の人生、出産と引っ越しがいつもセットで、我が…

海外での日本語学習を支える資格

高校卒業時あたりに日本語力を価値づけてくれる公的な制度 があると、小学校中学年~高校にかけて途絶えそうになる、子供たち、親の日本語学習へのモチベーションをキープできるといつも思っている。 この時期、 日本語も、現地語も、学習内容が高度になるこ…

継承語としての漢字の教え方研究会発足から4か月!(宣伝!)

継承語として日本語を教える親や先生をサポートする仕組みを作りたい ずーーーーーーーーーーーーと思って、もがいていたこと。 ここ数日、ブログを書きながらようやく今自分がやり始めていることがその一つという確信が持てたので、今日は、 「継承語として…

継承語児童の強み~文字より言葉を先に知っていること

先日、「継承語としての日本語」を教える教室を一緒に教えていた同僚と話をしていた時のこと。 なかなか、ひらがなを覚えられないお子さんがいるんだけども… 1字1字テストするとできないのに、単語を見せると読めてしまう という話。例えば、「ぼうし」と言…

継承語とはなんぞや②~親にとって

ほっとけば子供には引き継がれない言語「継承語」の伝授は親にとっても悩ましいものだ。 いつもどこか引け目を感じる 何らかの理由で、教えない、教えられない場合… 親は、ものすごく引け目を感じる。 で、教えたら教えたで…やっぱり 引け目を感じる という…

継承語とはなんぞや①~子供にとって(2世)

6月末に引っ越しをした。 引っ越しの荷物の中からセミナーの資料らしきものが出てきた 2010年に桜美林大学で行われた 「第2回 継承語教師養成ワークショップ」 自分で出た覚えは全くないので、どなたかが私に参考になると思うと言ってくれたんだと思う。 そ…

継承語を伝授するために、親にできること

「うちの子は、6歳でアイルランドに日本から移住しました。その時、新しい環境に慣れることを優先することを決めて、英語の習得に専念させました。近くに日本語補習校もないし、日本語を学習することはままなりませんでした。 なので、うちの子の日本語力は…

アメリカの公立学校を行く⑦~学校選択制の光と陰

1ヵ月の間に6校の公立学校を回った。 そのうち5校は学校選択の光の部分、そして最後の1校は陰の部分だったように思う。 シカゴのダウンタウンの南部に位置する超高級住宅地にある公立学校。 オバマ元大統領やモハメドーアリの家があるシカゴ大学にほど近い…

多様なアメリカ人を楽しむ私

アメリカを去るにあたって、多くの家具を処分しなくてはならなかった。 そこで、初めて「シェアリング」に挑戦。 us.letgo.com というアプリを使って、見知らぬ人に売ることを試みた。 かなり安い値段だったので、難なくほとんどのものはけた。 面白かったの…

「漢語」語彙力を増やす地道な努力~14歳の娘の場合

前回の 「継承語としての漢字の教え方研究会」 の定例会でのメンバーとやり取りの中でつくづく感じたこと。 前に、以下の記事で、継承語の子供たちの漢字の難しさについて考えたが edu-kachan.hatenablog.com 大きな要因は二つ。 ① 形が覚えられない ② 漢語(…

アメリカの公立学校を行く⑥~飴とむちの使い分け

子供たちが自律して学習に取り組んでいけるように支援していく のは教師の仕事だと思うが、その過程には必ず 「飴とむち」 の介入が必要だと思う。 問題は、何を「飴やむち」にするかということ。 飴になるのは… . スティッカー、賞状、給食のおかわり など…

アメリカの公立学校を行く⑤~本はすぐ手に届くところに

edu-kachan.hatenablog.com で、IT機器の導入が進んでいること、保護者が学校の良しあしを決める一つの基準になっていることについて書いたが、 「アナログ」的なことを決して軽視しているわけではない ことが教室環境から伺える。 一番いいと思ったのが、 …

バイリンガル15歳の葛藤~勉強「してる」と「になってる」の違い

今日は中三の娘の話。 小学校6年生の終わり、補習校を続けるかどうか、娘に決断をさせた。 続けるなら、宿題もきちんとやること。 大変だけれど、いつかやっておいて良かったと思うはず。 これからは、自律して勉強できるように、ママもできるだけ口を出さな…

アメリカの公立学校行く④ IT機器の扱いは?

フレンチスクールの6歳の娘の先生と面談をした時のこと。 彼女が達成した項目を示す表を見せながら説明してくれた。 ひも通し 形の並び替え 文字の認識 など、実際に手や指を使って学習する内容がずらりと並んでいる。 そして、殊更に強調して、 「もちろん…

読み書きレベルの日本語を継承という決断

親の言葉(日仏語)を読み書きレベルまで継承する これが私たち夫婦が子供が生まれた時に決めたこと。 上の子はもうすぐ15歳。これまで、その決断を変えようと思った事は無いけれども、日々、どれだけ語学に時間を割くべきか、頭を悩ましている事は確か。でも…

補習校に苛立ちを感じたわけ

先日、上の二人の補習校の授業参観があり、うーーーん、と思ってしまった。 普段、同業者なので、懇談会などの場面では発言しないのだけど、 「全部を終わらせようとするのは所詮無理なので、大事なことにフォーカスしてほしい。知識の詰め込みは家でもでき…

帰国生の外国語保持~覚えたかと思ったら今度は忘れる心配 トホホ

大妻女子大学教授の言語学博士 服部孝彦先生の講演を間接的に聞いた。 「第二言語の忘却(second language attrition)」の研究はこの30年ほど前に始まったばかりとか。 どんな風に忘れていくか 能動的技能(productive skills)の方が受動的技能(receptive sk…

アメリカの公立学校を行く③~教室環境に学ぶ

一か月に6校の公立学校を見学したが、 どの学校、どの教室もオープン 実際にドアがオープンである場合も多いし、もし閉まっていても、入っていくことにためらいがない。子供たちも見学者に慣れている様子で、見向きもしない。 教師に一歩入ってまず思う事は…

モンテッソーリ式の底力を知る

アメリカでも、フランスでもモンテッソーリ式の幼稚園が人気だ。 しかも何故か、モンテッソーリ式の幼稚園ではバイリンガル教育をやっているところが多いので、高い社会層の子達に人気がある。 私はと言えば、自分の子供入れたいと思った事は1度もない。理由…

漢字の継続学習の救世主?!~Quizlet

www.facebook.com が、本格的に動き始めて、先週は、スペイン在住のメンバーが、ご自身の指導方法を発表してくださった。 バイリンガル教育のキーポイントは いかに精選するか だと思うが、彼女は、精選の基準を自分の中ではっきりさせていて、それに基づい…

アメリカの公立学校を行く②~PTAの仕事の一つ「資金集め」

毎年のように春になると、 今年は公立学校の夏休みが早く始まる という噂がまことしやかに囁かれれる。 理由は、教育予算が不足して先生の給料が払えないから。 すでにアメリカの夏休みは、2か月以上あるのに、それ以上休みになったら、子供の学力は?親の負…

アメリカの公立学校を行く①~私のルール

趣味は何?と聞かれると今まで困っていたんだけども、やっとわかりました。 学校巡り 好きで、ワクワクして、時間を工面してでもやりたいこと、やってきた事はこれ。 思えば、大学の選抜試験の時、 「あなたの教師としての資質は何だと思いますか?それを伸ば…

フランスの学校のポートフォリオの仕組み

初めてフランスの学校に足を踏み入れた時、すごいなぁいいなぁと思ったことの1つ。 きちんとファイリングをして、 学期や学年ごとにまとめること 幼稚園から、日々使っているプリント類は先生がファイリングして、何ヶ月かに1回、持って帰ってきて親に見せて…

PTA活動で気づいた自分の強みと好み

日本語補習校のPTA活動の中で、 学級代表さんの生の声を聞く座談会 を開こうと言うことになった。 それで、事前に答えていただいたアンケートの中から、 建設的な意見を聞けそうな人 5人ほど、ピックアップすることに役を仰せつかった。 結果から言うと、そ…

やっぱり「起業の文化」、アメリカ

コミュニティカレッジでで受けた、オフィス365のコースの最終課題は、 マイビジネスをエクセル、ワード、アクセス、PowerPointを駆使してプレゼン だった。すでにビジネスを持ってる人はそれを、そうではない人は架空のものでもいいので、パンフレット、収支…

PTAからの七転び八起き~コミュニティカレッジでIT教育を受ける

「3番です!!!!」 子供たちが通う日本語補習校、次年度のPTA執行部は、立候補がない場合、前年度の学級代表から、くじ引きで決める仕組みになっている。 ちなみにこの学級代表も立候補がなければ自動的に、割り振られる。 PTAの参加は任意であるはずとい…

バイリンガルの「学習言語」習得までの長い道のり~14歳娘の悩み

夏から日本に移住することを一番喜んでいるのは、14歳の長女。理由は、 落ちていく日本語力を取り戻したい 補習校で日本から来ている友達とのやり取りの中で、ひしひしと 語彙力の乏しさ を実感するようだ。自分は稚拙な言葉しか知らないと。 この前も、「ど…

5歳児の文字→単語→文への歩み

子供の成長には、 飛躍の瞬間 というのがあると思う。 教育に携わっていて、これを間近で見れる機会に恵まれている。そしてこれが好きで、この仕事を続けているのだと。 昨日の夜、娘が、初めて「文」を日本語で読んだ。 私がPTAの仕事でパソコンに向かって…

小6息子、漢字の学び方が変わった~ミチムラセミナーの効用

去年の9月~今年の2月にかけて8回の子供向けミチムラ漢字セミナーを受けていた。 (興味がある方は、「漢字学習」のカテゴリーを参照) はっきり言って、うちの息子はあまり積極的に参加しているタイプではなかった(笑) 土曜日の補習校の上に、時差の関係…

帰国子女と男女不平等の日本文化

令和時代を迎え、天皇家の話がホットなこと × 伝記が好きな娘 に、昔読んだ以下の皇太子妃、雅子様のところを車の中で読んでもらった。(最近、スマホに押され、日本語の読書がほとんど進まないので、あの手この手で頑張ってる私) 私も驚く位、娘は次のことに…