世界の学校から

風来坊が綴る、世界の教育現場のあれこれ

継承語としての日本語教育

継承語とはなんぞや②~親にとって

ほっとけば子供には引き継がれない言語「継承語」の伝授は親にとっても悩ましいものだ。 いつもどこか引け目を感じる 何らかの理由で、教えない、教えられない場合… 親は、ものすごく引け目を感じる。 で、教えたら教えたで…やっぱり 引け目を感じる という…

継承語とはなんぞや①~子供にとって(2世)

6月末に引っ越しをした。 引っ越しの荷物の中からセミナーの資料らしきものが出てきた 2010年に桜美林大学で行われた 「第2回 継承語教師養成ワークショップ」 自分で出た覚えは全くないので、どなたかが私に参考になると思うと言ってくれたんだと思う。 そ…

継承語を伝授するために、親にできること

「うちの子は、6歳でアイルランドに日本から移住しました。その時、新しい環境に慣れることを優先することを決めて、英語の習得に専念させました。近くに日本語補習校もないし、日本語を学習することはままなりませんでした。 なので、うちの子の日本語力は…

「漢語」語彙力を増やす地道な努力~14歳の娘の場合

前回の 「継承語としての漢字の教え方研究会」 の定例会でのメンバーとやり取りの中でつくづく感じたこと。 前に、以下の記事で、継承語の子供たちの漢字の難しさについて考えたが edu-kachan.hatenablog.com 大きな要因は二つ。 ① 形が覚えられない ② 漢語(…

バイリンガル15歳の葛藤~勉強「してる」と「になってる」の違い

今日は中三の娘の話。 小学校6年生の終わり、補習校を続けるかどうか、娘に決断をさせた。 続けるなら、宿題もきちんとやること。 大変だけれど、いつかやっておいて良かったと思うはず。 これからは、自律して勉強できるように、ママもできるだけ口を出さな…

読み書きレベルの日本語を継承という決断

親の言葉(日仏語)を読み書きレベルまで継承する これが私たち夫婦が子供が生まれた時に決めたこと。 上の子はもうすぐ15歳。これまで、その決断を変えようと思った事は無いけれども、日々、どれだけ語学に時間を割くべきか、頭を悩ましている事は確か。でも…

補習校に苛立ちを感じたわけ

先日、上の二人の補習校の授業参観があり、うーーーん、と思ってしまった。 普段、同業者なので、懇談会などの場面では発言しないのだけど、 「全部を終わらせようとするのは所詮無理なので、大事なことにフォーカスしてほしい。知識の詰め込みは家でもでき…

5歳児の文字→単語→文への歩み

子供の成長には、 飛躍の瞬間 というのがあると思う。 教育に携わっていて、これを間近で見れる機会に恵まれている。そしてこれが好きで、この仕事を続けているのだと。 昨日の夜、娘が、初めて「文」を日本語で読んだ。 私がPTAの仕事でパソコンに向かって…

小6息子、漢字の学び方が変わった~ミチムラセミナーの効用

去年の9月~今年の2月にかけて8回の子供向けミチムラ漢字セミナーを受けていた。 (興味がある方は、「漢字学習」のカテゴリーを参照) はっきり言って、うちの息子はあまり積極的に参加しているタイプではなかった(笑) 土曜日の補習校の上に、時差の関係…

文字を書ける喜び

ひらがながほぼ全部読めるようになった5歳の娘は、 ひらがなが表音文字であることを理解 して、五十音表の助けを見ながら、書くことへと移っていっている。 書けることで、どんどん世界が広がっていくのが、見ていてよくわかる。 お誕生会の計画を立てて、マ…

海外補習校の役割は変わりつつある?!

日本に将来的に帰国の予定がある子供たちに、 日本の学習指導要領、教科書に沿って 国語として 日本語を教える これが、これまでの海外にある日本語補習校の役割だったと思う。 もちろん、うちの子のようにミックスの子供であっても、受け入れてくれてはきた…

険検倹験剣の使い分けを調べる

今年の目標の一つ 自分自身が漢字の楽しさを再発見する 前の記事に書いているが、ミチムラ式漢字指導のセミナーを受けて、一番反省したことは、自分自身が漢字そのものを楽しんだ経験がないということ。楽しくなくても自然に覚えられたし、漢字の習得は読書…

海外補習校で求められる国語教育とは

結論から言うと、日本の教科書に沿ってやるにしても、 日本の国語とは違う って考えた方が良いと思う。 日本の国語は、人物の気持ちの移り変わりを懇切丁寧に追ったり、筆者の意図をああでもない、こうでもないって考えたり、 精読 を目指すけど、ざくっと内…

ブックレビュー「メモの魔力」

教え子のFacebook に紹介されていて、「メモを取る習慣」を今年の目標の1つに抱えているので、早速Kindleで購入、耳読。 メモの取り方に関する細かいノウハウはもちろん参考になったのだけれども、 自分がワクワクするお気に入りのノートをゲットする という…

海外在住児の漢字学習のコツ②~友達と語彙集め、短文づくり

あまり本を読まない、理系頭のわが息子(現在小5)から、 補習校でどんな活動をしたときに、漢字の定着率がいいか を考えてみた。超主観的定点観測である。 ① 友達とワイワイ楽しく漢字活動をしている時間が毎週1時間ある 週1の補習校で、1時間漢字に割くと…

海外在住児の漢字学習のコツ①~漢語タイム

昨日は、learnjapanさん主催の道村先生の漢字セミナー、8回中第5回だった。 前回の宿題、 盲学校での漢字学習の様子を収録したNHKの番組をみて感想をかく ことを受けて、先生は、視覚障害児と海外在住児の共通点として次のようなことをおっしゃった。 会話は…

漢字指導、はじめの一歩は自分が楽しむ

1月1日に外国で暮らす子供の漢字指導のことを書いて、まずは なぜ、外国で暮らす子にも漢字が必要か か、を言語化しようと思っているものの、いざ書こうと思うとまだうまく言葉にならない。もう少し寝かせることにした。 今、道村先生の漢字セミナー子供向け…

国境を越えて年末漢字研究会

年末、前に住んでいたスイスとの国境にほど近いDIVONNEへ遊びに行った。家族の目的は、スキーだったり、友達に会うことだったり。で、私がやりたかったことはただ一つ。 スイスの補習校で出会った同僚と外国で日本語を学ぶ子供たちにとっての漢字指導を考え…

ミチムラ式漢字学習セミナー③~漢字の指導法アイデア

道村先生の第3回目のセミナーは、参加者のいろいろな疑問に答えるという形で、いろいろな漢字指導のアイデア、コツをゲット! 道村先生の話し方がうまいので、その場ではひきつけられて聞くのだけど、メモを取っていても意外と思い出せない。今回Zoomという…

ミチムラ式漢字学習セミナー②~読みの仕組み

だいぶ時間がたってしまったが、道村先生の漢字学習セミナー二回目の報告。今回は、漢字学習に躓く二つ目の理由の一つ。 音読み ということで、なぜ音読みが難しくなるのかという話でした。 訓読みがない音読みのみの漢字は、イメージがつきにくく、定着しな…

ミチムラ式漢字学習セミナー~書きの仕組み

先日、唱えて覚える漢字学習を推奨している道村静江先生のセミナーをオンラインで受けた。先生の本は、熟読しているのだけど、やっぱりオンラインと言えでも、直接お話を聞くことで目や耳が働き、新たに学んだことがあった。 唱えることの威力 「憂鬱のうつ…

5歳児の言語習得②

末っ子の「同音異義語」の話から、長女が5歳だった頃を思い出した。 当時フランスに住んでいた。ある日、 「ママ、tirelireって日本語でなんて言うの?」 「貯金箱だよ。」 しばらく沈黙の娘、そして、閃いたように、 「ああああ!なるほど!ちょきんって、…

5歳児の言葉習得

上の二人の運動会に5歳の末っ子も応援に駆け付けた。 全学年で大玉転がし あまり気にしていなかったのだけど、幼稚部から高等部まで一緒に運動会をするので、開会式、閉会式には、結構難しい言葉を始まりと終わりの校長先生、役員の方の口から発される。 娘…

海外で日本語を学ぶ子供たち ✖ ミチムラ式漢字学習③~ 漢字学習のツボ 

シリーズで書いている「唱えて覚える漢字指導法」を読んで考えたこと。 私にとって一番よかったのは、 どうして漢字学習が難しくなるのかを、学年段階を追って把握できたこと。 普段の生活で漢語をほとんど見聞きしない子供たちにとって、 3年での音読みの導…

海外で日本語を学ぶ子供たち ✖ ミチムラ式漢字学習② ~ なぜ、漢字がむずかしいか

漢字は難しいに決まっている と、日本語を学び始める人はみんな言う。多分、私がアラビア語を見て、どこで切れているのかわからないと思う気持ち、フランス語を習い始めた時、動詞の活用に途方に暮れた気持ちになるのだろう。 ただ、海外で暮らす子供たちに…

海外で日本語を学ぶ子供たち ✖ ミチムラ式漢字学習① ~ 

ミチムラ式漢字学習に出会ったのは、かれこれ7,8年前、盲学校勤務の時。 // リンク だった。その当時、盲学校の子供たちに大いに役立ち、これは海外に暮らし、漢字学習に苦労している子供に絶対に役立つと思い、自分の子供に部分的に使ったり、教師仲間、マ…